I'm Your Fan! 

洞口依子さんのファンにインタビューするコーナーです。


依子さんについて、たのしくおしゃべりできればいいな、と思ってはじめました。
鼎談でもそれ以上の数でもいいと思います。

ほかのファンのかたとお会いできる機会は限られるので、かなりの不定期更新は覚悟のうえ。

たまには依子さんにも猫だけでなく肴にもなってもらわなくちゃ。
(依子さんへのインタビューなどは、
こちら からどうぞ)


第4回 おさちゃん
 


「インターネットで最初に検索したのが『洞口依子』でした」
(2009年5月16日 品川にて)

今回は初の男性ファンの登場です。
名古屋在住の、おさちゃん。
この日は、依子さんの「のら猫集会@西新宿」開催日。
私もおさちゃんも新幹線ユーザーなので、お昼に品川駅で待ち合わせして、
わゆる「駅なか」パン屋さんのオープン・テラスでお話を聞かせていただきました。

この日、おさちゃんが持参してくださったのは、1997年の中日スポーツ紙。
開くと、「洞口依子、結婚していた!」との記事が大きく取り上げられています。
もう、こういうものを保存しておくというのが男の子だなぁと、我が身に照らし合わ
せて共感しました。
というわけで、まずはその記事の話題から!
 


この記事を読まれた「瞬間」のことを(笑)、教えていただけますか?

おさちゃん 瞬間、ですか(笑)。お相手はどういう男性だろう?と読むと、
その人も『昔からのファンだった』と書かれてあって、『こんなところにも同志がいる』
と(笑)

あ、ショックではなかったんですか。

おさちゃん ショックではなかったですよ(笑) おんなじ感覚を持った仲間が見つかって、うれ
しいなと思いました。
ぼくと同い年の男性ということもあって。

よくタレントが結婚すると人気が下がるとか言いますけど、まぁ、こちらもそういうことで一喜一憂する歳でもないし。

おさちゃん (男性タレントへの)女性ファンの思いでよく聞くような、結婚したことで好きという気持ちが変わる、ということはないですよね。
こうしてほかのファンのかたと洞口さんの話ができるような、仲間を見つけた喜び
でしたよ。

最初に洞口依子さんをいいなと思ったのは?

おさちゃん からくり人形の女』というドラマでした
(管理人注:1989年に火曜サスペンス劇場で放送。血の繋がらない兄や義理の父を魅力の虜にして、壮絶な惨劇を巻き起こす少女を演じた)
ぼくはもうその頃は20代の終わりで、仕事をしていたんですけど、
翌日、「すごく
いい女優がいる」と職場で話したんです。
ぼくはふだん、職場の人と仕事の話以外はめったにしないので、上司なんかビッ
クリしてました(笑) 
「きみがそういう話をするなんて」って。

『GORO』の「激写」が出会いではなかったんですね。

おさちゃん ではなかったですね。ぼくらの世代はみんな『GORO』を読んでいて、ぼくも見
てたんだけど、
それで特にこの子がという感じで印象に残ったわけではないです。

もともと好きなアイドルなんかはいたんですか。

おさちゃん とくにこれという人はいなかったんですが、しいて言うと、中学校の頃にアグネス・チャン。
そういう世代です。可憐なイメージで、日本語がたどたどしくて可愛くてね。

ラムじゃなかったんですね(笑)

おさちゃん もしくは百恵ちゃん。中3トリオのころですね。『赤いシリーズ』もぜんぶ見てました。
でも、アグネス・チャンのほうが好きだったかな。
それがどう洞口さんにたどりつくのか・・・

『からくり人形』以前に、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』は知ってましたよ。
東京の大学に行った
友達がいて、あの映画のことをおもしろいと言っていて。ビデオで見たんですけど。
そのときは、きれいな女の子だなと思って初々しい魅力は感じましたけど、衝撃
を受けたのは『からくり人形』です。
それから、テレビ欄で名前を見つけるとチェックするようになったんですけど、情報
は今みたいになかったんですよね。

当時はタレントのファンの人が自主的に作ってるミニコミみたいなのがありましたけど、
洞口依子さんのそういうのは、ぼくは知りませんでした
。ファンクラブもなかったし。

おさちゃん インターネットに初めてつなげて、最初に検索したキーワードが『洞口依子』だったんですよ。
インターネットの恩恵をひしひしと感じましたね!(笑)

その頃(90年代後半)のインターネットって、今以上にマニアックで思いいれたっぷりの世界だったように思います。文字ばっかりのサイトが多くて。

おさちゃん そうそう。それで、『からくり人形の女』のことも検索したり。
『からくり人形』では着物姿も本当に人形のようで、妖しくて強烈でしたし。これ
はすごい女優だと。

『ドレミファ娘』以上にお茶の間にもわかりやすい設定で、なおかつわかりにくい魅力がありましたね。
でも、今だったらあのドラマは改変されてしまうんだろうなぁ

おさちゃん 病的な話ですからね。堕ちて堕ちて、という。
堅実に暮らしている人間にはショックが大きいドラマでしたよね。
現実にあんな女の子がいたらとても近寄りたくないですけど(笑)、
どこかで巻き
込まれたいと、男は思っちゃうんでしょうね。
堅実な生活との落差に参るといいますか。

ほかに印象に残っている作品などは?

おさちゃん タンポポ』は、牡蠣を食べるときにかならず思い出しますね。あの海女さんの役は。

牡蠣をこじあけるとき、ちょっと難儀してるような表情になるでしょう、海女さんなのに(笑)

おさちゃん そうそう。あれがまた初々しくてね(笑) 牡蠣を食べてみたくなります。
伊丹作
品のときもよかったなぁ。
ドラマでは、『
愛という名のもとに』もさすがに見てましたよ。人気ドラマでしたよね

ぼくの思う洞口さんの魅力とはちがうものだから、とくにドラマとして熱心に見てた
わけではないんですが、
洞口さんが出てると思って見てました。

ぼくもそうですよ。「友達とはいえ、干渉しすぎじゃないのか」とか思ってましたもん(笑)

おさちゃん そうですね。すでにそういう熱い時代ではなかったですしね。
主役の、できる男とできる女よりも、洞口さんの演じる平凡な若者のエピソード
のほうが心に残りましたし。
あの主題歌とともに思い出しますよね。

あのドラマのファンのかたから、「中学生の娘とDVDで再見しました」ってメールが来ましたよ。
娘さんに「なんで誰もケータイを使わないの?」って訊かれたそうです。

おさちゃん ははは。なかったんですよね。今の若者にはわからないんですね(笑)
文化が変わると人の考えかたも変わっていきますね。
あのドラマで洞口さんの知名度がアップして、知人に説明しやすくなりました。

あれ以前はね、『土曜倶楽部』に出てる女の子、って認識はありましたよ。
「あぁ、あの生意気な子ね」って(笑)。女性の好感度は今ほど高くなかったと思
います。

おさちゃん いまは同じ病気をされているかたの支持というのもあるだろうし、
かなりそのへん
は変わったみたいですね。
『愛という名のもとに』以前は、洞口さんを説明するのに苦労しました。

ぼくも当時、いろんなアイドルの子とか、それなりに好きではあったんですけど、それは世を忍ぶ表の顔で(笑)。
「洞口依子が好きだ」ってのは、なかなか言い出せなかったんですよ。
それはもしかしたら、おさちゃんが『からくり人形の女』に受けたインパクトに近いも
のがあったのかも。
「これを好きだってことを人に知れちゃマズい」という。

おさちゃん (爆笑)そうそう、それはあるかも。
『からくり人形』に関していうと、あれは知多半島の物語で、ぼくのよく知ってる
駅のホームから始まるんですよ。
それでちょっと興味をもって見てたら、だんだんあの世界にはまっていって。
・・・
そうそう、こんなものも持ってきたんですが
(と、『パイナップル・ツアーズ』のチラ
シ、新聞での紹介記事、それに公開初日のみ配られた缶バッヂを出す)。

おおっ、このバッヂは當間監督に見せたら喜ばれるんじゃないでしょうか!

おさちゃん 『パイナップル・ツアーズ』も新聞記事で知ったんです。
若手の監督のオムニバスで破天荒な面白さがある、と紹介されていまして、
洞口さんが出ているというので、これは行かねばと、初日に行きました。
洞口さんの役はメインではないですが、映画自体にハチャメチャな魅力がありま
したね。

そう思います。それに、『マクガフィン』を見てから『パイナップル・ツアーズ』を見直すと、
彼女が沖縄の風景にいる感じがぜんぜん違いますよね。

おさちゃん 『パイナップル・ツアーズ』のときの顔は、役のとおりというか、外から来たばかりの人間に見えますね。
あの頃と『マクガフィン』ではちがうでしょうね。

そう思うと、感慨深いものがあります。

おさちゃん 』はずっと見てましたね。
あの流産のシーンの迫力ですとか、洞口さんにし
かできないなぁと思いました。びっくりするような表情があって!

『蔵』のときは、最初「使えない芸者」って感じで出てくるじゃないですか。ドジでかわいい。

おさちゃん そうそう(笑)それと後半との対比もあってね。すごくインパクトがありました。

お医者さんの役も多いですよね。

おさちゃん CURE』の役もインパクトは大きかったですねぇ。短い出番でかなり強烈な印象がありました。
あれはなんだっけ、歯医者さんの役で最後ゴミ出しするのは…

おかえりなさい』ですね。あれも再放送は難しいでしょうねぇ。
(管理人注:1993年のドラマ。恋愛ドラマふうに始まって、とんでもなく猟奇的なブラックユーモアで終わる…)

おさちゃん 助手の子とケンカして、という話で。人をよせつけないツンとしたところが合ってると思いました。

ぼくがけっこう好きなのは、駄目な母親の役を演じるとき。

おさちゃん あぁ、子供を愛せないで勝手なことばかりしてるような(笑) うんうん、そういうのもありますね。
これからいろんな役を演じる洞口さんを見てみたいですね。年齢相応の役もい
いし。

サスペンスにしても、謎解きとはべつの、深いところでミステリアスな存在感が出せる女優さんですしね。
ところで、依子さんのブログはいつごろから見ているんですか?

おさちゃん 2006年の秋ごろです。見つけたときには、おっ!と思いました。
それまで、彼女の文章を知らなかったので、文章もいいなぁと思って。
おそるおそるコメントしてみると、ご本人からコメントが返ったり。
インターネット初体験のときと同じく、ブログの素晴らしさも洞口さんから学んだよ
うなもんです(笑)

2006年の秋ごろというと、依子さんのブログの文章もアップ&ダウンが激しかったですが、それはどう思いました?

おさちゃん これはやむをえないだろうなぁと思いました。
私は医療関係の仕事に携わっているので、自分の見聞きすることとも重なって
、応援したいと思いました。
アップ&ダウンがあるのも見守っていたいと。
そのあと『子宮会議』が出て、読んだときも、思いのたけが綴られてあるところに
素直に共感できたし、
自分の仕事ともつながる部分で、闘病している人の視点や疑問、悩みが伝わ
ってよかったです。
この本は職場の仲間にも薦めて回覧で読んでもらいました。全員が買ってくれ
ればさらによかったですけどね(笑)

ぼくは、人間として揺さぶられるところと、男性として理解が及ばないところが、正直に言うとありました。
男の素朴な意見として、「子供がすべてではないから」と思っちゃいそうになるん
ですけど、そういうことではないと。

おさちゃん 共感となると、その喪失感の大きさまでは、簡単にわかることではないですね。

ぼくもいろいろお叱りの言葉をいただいたりしましたしよ。

おさちゃん 子供を生む/生まないという点しか見えないとね、
生める/生めなくなることの女
性の苦悩はなかなかむずかしい。
コメントするのも難しい問題だと思います。

『子宮会議』の出版記念サイン会が、下北沢の書店でありましたね。

おさちゃん ほんとうに会えるのかな?とドキドキしました。
駅前からパイティティが演奏しながら練り歩いたんですよね。小雨が降ってたと思
います。
洞口さんがあの下北の駅前に現れた瞬間、胸が高鳴りましたよ(笑)

ぼくの場合は、ブログを読んで、「あぁ、当たり前に当たり前のことを悩む人なんだな、そりゃそうだよな」とわかっていたので、
それがいいクッションになりました。

おさちゃん それはありますねぇ。
ブログを読んでなければ、もう、雲の上の人だったので、いきなりサイン会に行け
たかもわかりませんね。
翌日また職場で報告しましたよ(笑)

今後、どういう洞口依子さんを見てみたいですか?

おさちゃん お体をいたわりつつ、というのはなにより優先してほしいですね。
女優さんだから、来る役を受けるかどうかなんでしょうし、一人でできる仕事じゃ
ないでしょうし。

コメディーやコントでの洞口さんも見てみたいですよ。洞口さんのイメージとのギャ
ップが楽しめそう。
ウッチャンナンチャンのコンビニエンス物語』が好きなものですから。
あれ、おもしろかったですね。
彼女にありがちなキャラクターをデフォルメして、いか
にもという役を楽しそうに演じていて。
かわいいパジャマ姿もあったりしてね(笑)
『サラリーマンNEO』みたいなコントなんか、いいんじゃないかなぁ。見てみたいで
す。

『サラリーマン・ニャオ』とか。

おさちゃん 『ニャオ』ね。いいですね(笑)


笑顔がとてもあたたかいかたで、笑いを絶やさないお話ぶりに、ついついこちらも笑顔になりました。
なんといっても冒頭の「同士を見つけたと思った」という意味のコメントが最高で、思わず大きく首肯してしまいましたね。
しかしおもしろい。
女性はご自身の人生や生活に引き寄せた視点で語り、男性は対象そのものがいかに好きかを語る。
それとやっぱり、同性として見るか異性として見るか、このへんの違いもおもしろい!
このファン・インタビュー、とても楽しくなってきました!おさちゃん、お忙しいなか、本当にありがとうございました!


『I'm Your Fan !』コーナーのもくじへ

←「洞口日和」Home