『探偵事務所5Another Story File マクガフィン』案内所

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この作品は『洞口依子映画祭』で上映されます!



『探偵事務所5 Another Story File 7 マクガフィン』AVBF26056) 

『探偵事務所5 Another Story File 7 マクガフィン』 (作品の解説はこちら)  

『マクガフィン』は、當間早志監督はじめ、藤木勇人、津波信一各氏ら、
依子さんが『パイナップル・ツアーズ』のときに組んだ沖縄の映画人によって作られた映画です。
当初、インターネット・ムーヴィーとして公開され、やがて劇場公開の運びにもなりました。

依子さん演ずるのは、東京の家を出たまま行方不明となっている身重の絵本作家、成子。
彼女の描く絵の中に「MacGuffin」という文字が見えること、そして失った記憶を取り戻したいと言います。
そこで、探偵515と成子の旅が始まります。

『探偵事務所5』シリーズのオフィシャル・サイトはこちら 

パイティティ『MacGuffin』(HLR20071)i-Tune Storeでのダウンロードは、 こちら

音楽は、パイティティ。
洞口依子さんと石田英範画伯を中心とするウクレレ・バンドです。

いつの時代の、どこの国だか、わからないような音楽。
スタンプに埋もれたパスポートか、ステッカーだらけの旅行カバンか。
最高なのは主題歌「MacGuffin?」の使われ方。ここにこの音が流れるか?という。
そもそも、沖縄という、風土と音楽という点では「そこは外さないでしょう」というラインを、
あえて外して、ちがう球を放り込んでいるセンスがいいです。
上のCDは、3曲を収録した彼らのデビュー・マキシ・シングル。
映画を観たらこのCDが欲しくなるし、このCDを聴いたらライヴを観たくなる。

パイティティについての記事や取材レポをまとめた"Paititi Flight Log"は こちら  

洞口依子 著『子宮会議』(978-4-09-387702-2 (4-09-387702-5))小学館

『子宮会議』についてまとめたコーナーはこちら

そして、「誕生」と「出産」。
『子宮会議』の本の中でも、この作品との出会いが依子さんにどれほどの希望をもたらしたか、
重要なパートとして描かれています。

この映画でも、「誕生」と「出産」は大きな位置を占めています。
それが映像としてどんなふうに展開されるのか。
パイティティの石田画伯がヴィジュアルで協力されたこのシーンは、
それまで横方向に緩やかに滑空するかのようだった画面に、垂直に花が咲いたかのような鮮烈さをもたらします。

この映画をきっかけに、パイティティが本格的に始動し、『子宮会議』が出版され、
リーディング・セッション
へと発展していったことを考えると、
この『マクガフィン』という作品は、その後の依子さんのキャリアや人生にとって、
ずっと重要な意味を持ち続けるのだろうと思います。
彼女にとって、復帰への、新しい道の入口であったことは、疑うべくもありません。

子宮会議のリーディング・セッションをまとめたヒストリーはこちら


「不思議なもので、私は、カメラの前に立つことがすごく嬉しいのね。
あの映画はデジタル・カメラだったんですけど、それでも自分がカメラに吸い込まれてプリントされていくような感じが
手ごたえとしてあったんですね」
(洞口依子 2007年8月4日、当サイトのインタビューにて)

当サイトの洞口依子さんインタビューは、こちら

『マクガフィン』は、2007年5月5日、那覇市の首里劇場で上映されました。
私はこのイベントには居合わせなかったのですが、そのことをとても後悔しています。
あとから、依子さんの記述や写真で追体験するほどに、
もう2度と戻らないし、自分が体験できなかったその日の首里劇場に心が吸い寄せられます。

首里劇場での写真やレポは依子さんのこの日のブログ

1本の映画から、いろんな芽が出て・・・このページもそのひとつに挙げさせていただければ光栄ですが・・・
さらにそれが新しい種子を育む。
このイメージは、あの映画を見たかたなら、首肯していただけるかと思います。

當間早志監督に、こんなメッセージを当HPの掲示板にお寄せいただきました。

「子宮会議」を初めて読んだ時、『マクガフィン』の原作か?と思ってしまいました(笑)
原作と映画がテレコになった希に見るケースです(笑)
CDもリリース出たし(笑)

映画、小説、CD…
メディア・ミックスという企画物としては昔からよくあるパターンですが、
『マクガフィン』に関しては全くそんな計画はありませんでした。思いっきり自然発生の純粋な創作物です。
『子宮会議』だってゴーストを使わず本人が書いているし。
パイティティのアルバム『MacGuffin』だって、「探偵事務所5」のシリーズとは直接関係ありません。

けど、キッカケを与えてくださったのは「探偵事務所5」。そして、このHPのように応援してくださる方がいる。
いろんな人が関わって作品が生まれ、昇華させていくんですね」

さらに、当HPでの當間監督インタビューから、この作品の洞口依子について語られた部分を以下に抜粋します。

當間監督
「脚本の段階から彼女が関わってるし、撮影に入ってもコーヒーいれたり、運転手もやったり」

運転手の運転手ですね。

「そう!(笑) 運転手が沖縄の人なのに。 洞口さんのほうが道くわしくて。 もともと、地理に強い人だから」

洞口依子さん
「そう。GPS搭載なの。うふふ」

『マクガフィン』で妊婦の役を洞口さんにお願いしたときの洞口さんの反応というのは、どういうものだったんですか?

當間監督
「彼女に妊婦役の依頼の電話をしたときの印象では、あっさりと引き受けてくれたように思ったけど、
完成後しばらく経ってから彼女が言うには、一瞬ぼくのことを『ひどいやつ!』って思ったらしいね(笑)。
こっちも言うまでにためらいはありましたよ。 人に相談したりもしたし。
でも、隠したってしょうがないし、だまそうとか思ってるわけでもなかったから」

それにプライベートで親しかったことへの信頼感が大きいでしょうね。

當間監督
「うん。信頼してくれたとは思う」

とてもハードな撮影だったと聞いてますが、洞口さんのようすを見ていて、どうでしたか?

當間監督
「まだ手術の後遺症が大きく残っている状態だったから、ハードそうだった。 
でも、彼女にはプロの女優としてのプライドがあるはずだし、元々気遣い性なんだよね。
だから、ぼくの方から気を遣うのはよくないと思って、あえて気づかないふりをしてた」

気の遣い合いになっちゃうのも、よくないですもんね。

當間監督
「でも、撮影が進むにつれて、顔色もどんどんよくなっていった」

最後の海に浮かぶシーンでは、どうでしたか?

當間監督
「日も傾きかけていたし、海に入るシーンだから、撮り直しはしないつもりでいた。だから何度も砂浜でテストした。
そしたら、テイク1でお腹に仕込んでいる詰め物が浮いてタイミングが練習どおりにいかなかった。
それであわててメイクしなおしたり、髪を乾かしたりして」

12月でしょう?

當間監督
「うん。 でも、12月の沖縄の気候は小春日和のようにものすごく暖かい日になる時があるわけ。
この日はまさにそれだった。 ほんとに偶然。 映画の神様がおりてきたんだと思う。
そのときは、彼女の表情に安心感とか達成感がほしかったんだけど、
ぼくはカメラを回しながら海に浮かんでる彼女に向かって、『いいね〜いいね〜その表情〜!』とか、
グラビア撮影みたいに(笑)ずっと声をかけてた。
あのシーンの裏では、じつはぼくのそういう声が(笑)」

そうなんですか! これはバラさないほうがいいのかなぁ。

當間監督
「(爆笑)で、すごくいい表情をしてくれて。 みんないい表情っていうね、あのシーンは」

いい表情ですよねぇ。

當間監督
「彼女も浮かぶのは好きだし。 で、あとから見ると、ロング・ショットには太陽が2つあるように見えるんだよね。
あれも神様がおりてきたんじゃないかと思う」

あの映画からは、『子宮会議』が生まれ、パイティティの活動にもつがりました。
監督はこの3つに深く関わられているわけですが、
監督から見た洞口依子さんの本当の姿は、この3つのどれがいちばん近いと思われますか?

當間監督
「すべてだと思うよ。 女優という枠を飛び越えてるというか。 
彼女の器が、女優だけではおさまらないというか。
舞台女優の場合は、稽古でどれだけ演出をつけられても、本番で自分の舞台にすることができるでしょう。
その意味では映画女優は、編集次第でニュアンスが変わったりする。
でも彼女はそこだけにおさまらなくて、自分の表現したいものを持ってる。
それで、ものすごい勉強家だし、いろんな分野のことを吸収している」

ぼくは、彼女はインプットがとても多いけど、アウトプットはぜんぶ「洞口依子」として出ているように思うんですね。

當間監督
「うんそうだと思う。 それがなにかは言葉では言い表せないんだけど、
・・・光線だしてるよね。 いろんな光線を。
だから、求心力もあって、人を惹きつける力がすごいよね。
パイティティで凄腕のミュージシャンが入って演奏するところにも、その求心力があるのかなと思う。
そのきっかけは彼女じゃないにしても、彼女の影響力は大きいと思う。
素晴らしいミュージシャンたちに囲まれた彼女の堂々としたライヴ・パフォーマンスを見ていると、
だんだんと自信に満ち溢れてきているのが分かるよね。

病気して、100%ふっきれたかどうかは彼女にしかわからないけど、
かなりいいところまで行ってると思うね。
ぼくが、早くそうなってほしいと期待してたからね。
でも、まだ足りないと思ってるはずだよ。 それは大事だしね」


いつも活動で満ち足りたところは、ひょっとしたらないのかもしれないんだけど、
でもそこが魅力のひとつでもあるんですよね。

當間監督
「それがまた、継続につながっていく。 影響を受けますよ、ぼくたちも。
頼りになるぜ、姉貴!って感じだね」


(當間監督が依子さんを語るインタビュー「初めて会ったときの印象は、怖かった」の全文はこちら) 

この映画のロケ地をちょっとだけ探訪しました→「映画とプチ歩く〜夢影博士が『マクガフィン』とプチ歩く


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