紳助の人間マンダラ・ゲスト 洞口依子』(1994年)

(当サイト「洞口日和」は、洞口依子さんを応援するサイトです。
この解説は、依子さんを中心に語るもので、いわゆる番組解説とは趣旨が異なります)


関西テレビ制作ですが、U局などで他地域でも放送されていたようですね。
日曜日のお昼に視聴率20%台を誇る時期もあった、人気バラエティ番組でした。
『元気が出るテレビ』をもっとコテコテにしたようなものを想像すれば、近いかも。

番組に洞口依子さんが出演したのは、
この翌日夜にオンエアされる秋のドラマ・スペシャル『私は悪女? 』の宣伝のため。
その作品は、桃井かおりさんと夏木マリさんが前半しか出てこなくて、
後半は、お2人の十字砲火を引き継いで、依子さんが北村総一郎さんのおじいちゃんをたぶらかす、
という凄いドラマでした。

番宣といっても、ポスターか何かを携えて「明日放送で〜す、見てくださ〜い」
とだけしゃべって帰るようなお座なりなものではありません。
番組の冒頭からエンディングまで、ちゃんと紳助、オール巨人、掛布さんらと
VTRを見ながらトークに参加しています。

こういう番組って、再放送はないに等しいですよね。
なにかの機会に、珍しいものを集めて上映会でもできないものか。
お宅訪問の『素顔が一番』とか、掛布さんと鈴鹿でデートする『噂になりたい』など、
ファンはかなり楽しめると思うんですが。「チャンピオンまつり」とか銘打って。

さて、登場した依子さんは、早速、紳助のいじりにあって笑っています。
「見るからに悪い女やぁ」
「ちがいますよ!」
「一週間いっしょにおったら、ボロボロにされるね」
「そんなことないですよ、私はいいモンなんですよ」
「ドラマがあるんですって?」
「そうなんですよ。『私は悪女?』っていう・・・」
「あなたの物語ですか?」
「ちがいます!」
「ドキュメンタリーなんでしょ?」
「ちがうんです!私が演じる女の子もホントは悪女じゃないんですよ」
「あぁ、あなたがホントは悪女なんですか」
「ちがうって!」

この番組の名物コーナーは「愛のデートマンダラ」、別名「モテナイくん」。
彼女ができたことがない男性(女性の場合は「モテナイちゃん」)に、
手っ取り早く言うとナンパのお手伝いをする人気コーナーでした。
この回のモテナイくんは、33歳の鉄道マニア。
新大阪駅で、自慢の鉄道テレカや初乗りのレア切符、阪急沿線のスタンプ帳などを小脇に、
つかまえた女性に鉄道の話題でニヤニヤ笑いながら話しかけます。

しかし、この回のモテナイくんは、紳助も言うように、さほど個性的というわけではありません。
べつの回で登場するモテナイくんは、もっとコミュニケーション不能な人物がいました。
たしかに少々変わり者ではあるかもしれないけれど、まだ説明の範疇におさまる。
紳助も巨人も、今回はあまりおもしろくない、とはっきり意見を述べています。
そのへんで、笑いの端緒をつかみきれないようなもどかしさが、依子さんの表情からも窺えます。

また、現在の目で見ると、生活の営み以外に極端に夢中になる何かを持っている人って、
もうそんなに珍しく思えないのかもしれません。
ほんとに可愛い女の子やイケメンの俳優が、嬉々として昭和歌謡やコスプレの魅力を語る光景を
21世紀に入ってあちこちで見聞きしているし、
むしろここに登場する鉄道マニアの人って、なんか懐かしい持ち味です。

それよりも、私には、
「モテナイくん」とは正反対の位置にいるように思える、この笑顔の愛くるしい依子さんも、
けっこうマニアックなところのある人だし、
VTRに見入る目は、どこかマニア度の見定めをしているように思えます。
そして、彼女に「悪い女」役のイメージがあるとしたら、よく演じる「対オトコ」の破滅度だけでなく、
「対世間」のマニア度の強さもどこかで翳を落としてるのかもな、なんて思ったりします。

途中、新大阪駅で高田万由子さんが偶然通りがかりに出演しています。
彼女を見て、『オトコの居場所』に依子さんと出てた頃だよなぁ、と呟いてしまう私も、
あんまり他人のことは言えない。


1994年11月20日(日) 12:00〜13:00 関西テレビにて放送


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