『素顔が一番!(ゲスト 洞口依子)』(1999)

山本文郎さんと山王丸和恵さんのおふたりが、洞口依子さんのお宅を訪問した回です。
ファンならこの1999年という数字にピンとくるはず。
昨年(2007年)パイティティがデビューの運びとなった際、
「8年前に結成しました」という言葉をよく聞きましたよね。
ということで、ここでは、結成当初、ごくごく初期のパイティティの姿を垣間見ることができます!
めちゃくちゃレア。

依子さんがこのオンエアの2年前に結婚して居を構えた世田谷の町、その商店街で待ち合わせです。
餃子の王将などが並ぶきわめて庶民的な街角に、コーラル系統の薄手のスリムなニットで、
自転車に乗って登場。
え〜、ちなみに、ものっすごく可愛いです。
道歩かないでほしいくらい(意味不明。でも、わかってほしい)。

自転車を押しながらまず向かったのは、台湾喫茶のお店。
ここは依子さんが雑誌でも紹介していましたね。
「休みの日にとか、ひとりでボ〜ッとしたいときとか。たまに、主人が休みのときとかも」
とお茶をすすって、
「『主人』だって!うわぁぁぁ!なんか・・・!(口を拭い清めるしぐさ)」
「いやいやいや、いいじゃないですか」と文サン。
「『主人』なんて、あんまり言わないから」
「いつもなんておっしゃってるんですか?『あなた』?」
私、ここで、飲んでた紅茶を噴き出してしまいました。
まぁ、文サンくらいのお歳の紳士からすると、こういういい女には夫をそう呼んでほしいよね。
「いや、『カッパくん』って(笑)」
「カッパくん!」隣の山王丸さんと目を合わせようとしますが、
山王丸さんの目が宙を泳いでます。

「TV局のディレクターだったら、今日の収録のことも、いろいろアドバイスされたんでは?」
という質問に、うなずく依子さん。「すごいんですよ。今朝もケンカ腰で」
へぇ〜っ、と嬉しそうにニマニマ笑顔で首肯する文サン。
しかし、どうも、なんか微妙に勘違いされているような・・・
山王丸さんの「じゃ、そうやって相談されるんですか?」の言葉にも、
どこか「ま!クリエーター夫妻って、素敵ねぇ」の響きが。
でも、ここで依子さんの表情から読み取れる、頭の中にあるカッパくん像は、
きっとこのお2人のものとはちがうはず。そこがおかしくってしょうがないですね。

この喫茶店では、週刊朝日の表紙でデビューしたときの反響の話。
明快な笑顔ではない、不思議なニュアンスの伴うものだったので、戸惑いの声が多かったこと。
GOROの激写でヌードの話がきたとき、躊躇したけど、開放的な気分にまかせて脱いじゃったこと。
女優の気取った世界より、芸者の世界にあこがれたことがあること。
依子さん、ものすごく弾けて身振り手振りをまじえた説明をしてくれます。

そこから、歩いて行ける(オンエア当時の)自宅へ移動。
カッパくんも在宅、との前フリがつきます。
そのままキッチンへ。
TVっておもしろいです。キッチンに入ると、これがちゃんと使われているキッチンだと、
映してしまうんですね。生活感が温かく空気中に残っている。
お土産にもらった讃岐うどんに小躍りし、
「うちの人が大好きなんですよ」とカッパくんを呼びます。
ここでカッパくん登場。
口髭と顎鬚を少したくわえていますが、現在より幼い印象を受けますね。
パーカーとジーンズのせい?

カッパくんはいったん退場(あとで「ヘルター・スケルター」のエンディングなみに戻ってきます)。
依子さんはキッチンに立ち、古めの台所なので、昔の人の身長に合わせてあり、
長時間料理すると疲れることをぼやきます。

「これ、なんですか?」の声に冷蔵庫のドアを振り向く依子さん。
(事務所の先輩でもある)三浦友和さんの「サイン入りポートレイト」です。
しかも、「依子さんへ」と直筆で書かれてあります。
「冷蔵庫開けるたびに、『はい!ちゃんとやってますよ!』って」と、
ていねいにマグネットで留めなおします。
それから、チボ・マットのチケット。
「ジョン・レノンの息子のショーンくんが参加してんですよ」
そしてギターを抱えるポーズでその場で跳びはねながら、
「かっわいいの〜もう、ピョンピョンピョンピョンって!」

和室の居間へ。

棚にズラリ並んだ亀の置物。そして、それに混じった本物のホシガメ。
その上の段は「革命的な感じ」。ゲバラにトロツキーにレーニンの胸像や写真。
う〜む、依子さんは、ゲバラにトロツキーといった言葉を、色っぽく発語できるんだな。
もしかして、私がファンでいる理由は、それかもしれない。変態だろうか。

さらにその上の段も亀コレ。
さらなる亀ばなしを、ということで、カッパくんが再登場。
エジプトリクガメだとか、門外漢にはわかりませんが、水槽を案内してくれます。
傑作なのは、「パンケーキ」という亀。
「ここを、押してください」と亀の甲羅を押させるカッパくん。
なにが起きるのかな?と文サンの気持ちで見守っていると、「やらかいでしょ?」

居間でワインを傾けながら、カッパくんもまじえてのインタビュー。
山王丸さん「やっぱり、亀がきっかけだったんですか?」
「なにがですか!?」目をむいて問い返す依子さん。
「おふたりの(出会いのきっかけは)」
「ちっがいますよぉ!」そりゃそうだろう。
ここにきてわかるんですが、この番組のツボは、非常に独特なスタイルを持つ洞口依子のプライベートを、
非常に独特なずれを持つ質問者がたずねるというここなんですね!
だって、この質問には、あのカッパくんも目がキョトンとなってますもん。

知り合うきっかけとなったNHKの番組『ソリトン』の夏特番 の話。
カッパくんが『ドレミファ娘の血は騒ぐ』を昔見て、彼女と仕事をしたいと思ったという話。
少し照れたのか、間が持たなくなったカッパくんが、突然中座。びっくりする3人。
「変な人でしょ?ゴメンなさいね〜自由にやらせてあげたほうが」

「で、最初、ご一緒にお仕事なさって、カッパさんのことを、『このかた、素敵!』って?」
文サンはまだ、この2人の夫婦像をほとんどまったくつかみきれないでいる様子。
非常に古典的な、女優とディレクターのコイバナ像の軌道を走っています。
それに対する依子さんのリアクションも最高。
え!まだその方向で見てたの?って感じで驚いて、
まさか!!!!と強く否定しそうになる自分をいったん引き戻して(口をチャックする仕種!)、
「いや!!! おも…思いませんでしたね!」
そこでもう一度、結婚への心の動きについて訊かれて、
「おもしろいし、やさしいし、私に関わる人を大切にしてくれる」
「あ、やさしいっていうのは、わかりますね」
「感性も、微妙にずれてるところが面白かったりしますね」

結婚式の招待状に載せた写真の話。
カメラには見せれないけどと、その現物を2人に見せる依子さん。
度肝を抜かれるインタビュアー2人。「…すっぽんぽんですね。2人とも」

旅先での話。ビデオをまわすときも、いちいち演出をつけるので困る、と依子さん。
ここでとっておきの映像公開です。
なんと、依子さんが海外でバンジー・ジャンプに挑戦したときの模様。
50mの高さから飛び込む様子を、カッパくんが上からとらえたもの。
と、バンジーで盛り上がる一同のところに三たびカッパくん、登場です。
今度は、なにやら大きなものを抱えています。
おおっ、『ドレミファ娘』のポスターじゃないですか(ほしい!ほしすぎる!)!
「これがさっきの話の映画なんですよ〜」とはしゃぐカッパくんに、
困惑と苦笑を押さえきれなくて吹き出してしまう依子さん。
「ゴメンなさいね〜、ホントに、ゴメンなさい。もう、アタシ、笑っちゃって!」
「いやいやいや、いい人じゃないですか。いいカップルだよ、ねぇ」

ここで、いま依子さんが熱中しているものとして、ウクレレの話。
「いま私、バンド組んでるんです。しかも、プログレなんです!」
「…プログレ?なんだっけな、プログレって」
「プログレッシヴ・ロックですよ」
「プ…?あぁ…そうですか」

外はもうすっかり暗くなっています。
ここから移動したスタジオというのが、お待たせしました、
パイティティの石田画伯の自宅です!
そしてここで、おそらくこれが正真正銘の初公開だったパイティティの演奏。
ビートルズはIn My Life(の早回し。著作権対策なのかな?それともチップマンクス?)
に合わせて2人の合奏。
さらに、文サンが昔とった杵柄でウクレレと喉を披露。パイティティとの「カイマナヒラ」セッション。

最後はおすすめのバーで今後の抱負などを。
「職業は旅人でありたい」
「依子の依はにんべん。人に支えられているって、結婚してから気がつきました」
いい〆でした。

全体に、依子さんの弾けたおしゃべりとアクションが素顔のヨーリー像を思わせます。
そして、現在よりいい意味で無邪気。
30代の洞口依子さんの可愛さが、巧まずしてとらえられています。

本人ではないファンの目で見ても、なにかしら、懐かしいような印象を受けます。
でも、私は、何度でも書くことですけど、お世辞でもなんでもなく、
今の依子さんは、この頃よりずっと、人間として、女性として、女優として素敵になったと思います。
この頃はこの頃で、もちろん、いいんですけどね。

でも、よくよく考えてみると、
このインタビュアーおふたりが最後まで理解に手こずっていたところにこそ、
洞口依子という人の魅力があるような気がしますね。
気がしますっていうか、はっきり、そうなんですけど。


1999年11月3日 日本テレビ
10:00〜10:30 放映

「この人を見よ!」へ

←Home (洞口日和)