〜洞口依子 出演作品解説〜 |
『警視庁鑑識課 南原幹司の鑑定3』(2013年) |
洞口依子さん、久しぶりのサスペンスドラマ出演。
2011年の『はみだし弁護士 巽志郎(11)』『おみやさん』以来だから2年ぶりだ。
(サスペンスドラマだけのリストは「依子がサスペンス」のページにあります)
2ちゃんねるなどの掲示板には2時間サスペンスのファンによるスレッドがあって、公式発表されていないドラマの予定が載っていたりするから驚く。
また、オンエア実況はもちろん、事前の犯人当てなんてものもある。
そんな熱心な人たちに、キャストの中にある「洞口依子」の名前は真っ先にマークされるようだ。
かく言う私も、洞口さん出演のサスペンスがあるときは、彼女が犯人か否かをどこかで意識しながら見てしまう。
サスペンスでの洞口さんには、視聴者の同情を誘う薄幸の女性、という設定も多く、またこの2つの合わせ技もあるし、
(ずいぶん昔の作品だが)『
ゴルフスクール 女たちの華麗な斗い』のように後半でひっくり返るケースもあるから、油断ができない。
この『警視庁鑑識課 南原幹司の鑑定3』での役は、薄幸の女性像にウェイトを置いたものだ。
ある週刊誌記者が殺され、彼が追っていたスキャンダルの主である有名弁護士と、秘書をつとめるその娘が疑われる。
弁護士が死亡推定時刻に会っていた人物として名を出すのが、洞口さん演じる小料理屋を切り盛りする女性、山口珠世。
彼女の亡き母が事件と繋がっていて、珠世もなにかしらの関与を匂わせながら話は進む。
ストーリーや謎解きの意外性よりも、ハウツー的に見せる捜査や鑑識の豆知識で興味を引っ張る。
どこまでがリアルなのかはわからないが、DNAの検査具というものを私は初めて見たし、洞口依子さんが実際にそれを使用する姿も、
一瞬、役柄と本人が虚実ないまぜになったような神妙な面持ちをドキュメンタリー的にカメラが捉えているようで面白かった
(あまりこういう検査をする機会はないので、洞口さんの体験談を聞けたらなと思う)。
山口珠世役は辛い境遇を健気に生きる女性なのだが、洞口さんは力のこもらない淡々とした口調で話し、どこか地に足のつかない感さえ与える。
そこに真意の読めない疑わしい空気がつきまとい、かと思うと中村雅俊さん演じる南原幹司に料理を誉められて見せる笑顔もあって、
見ているうちに、先読みしたりブレーキをかけたり、シロかクロか判定を変えるなどしたが、話の流れは意外なくらい王道の展開だった。
ところで、洞口さんといえば大の猫好きだが、このドラマの役はトイプードルを飼っているという設定になっている。
ふと思ったのだけど、洞口さんと犬の組み合わせは案外めずらしいんじゃないだろうか?
クライマックスで犬への心遣いをみせる場面があって、そこでの洞口さんが堰をきったように一緒に暮らす動物への想いがあふれるていて良かったので、
彼女の役柄に犬をあと少し絡ませてくれていればと思った。
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