I'm Your Fan! 

洞口依子さんのファンにインタビューするコーナーです。


依子さんについて、たのしくおしゃべりできればいいな、と思ってはじめました。
鼎談でもそれ以上の数でもいいと思います。

ほかのファンのかたとお会いできる機会は限られるので、かなりの不定期更新は覚悟のうえ。

たまには依子さんにも猫だけでなく肴にもなってもらわなくちゃ。
(依子さんへのインタビューなどは、
こちら からどうぞ)


 
第1回 絵美子さん

 

  
「依子さんが変わっていくのを見て、わたしも変われるんだ!って思いました」
(2008年10月25日 渋谷にて)

第1回目のゲストは、絵美子さん。 
お会いするのはこれが2度目ですが、ちゃんとお話したのは初めて。
のら猫集会」でお会いしたとき、初対面と変わらないにもかかわらず、
この企画の趣旨をお話すると、その場で快諾してくださいました。
それだけでなく、翌々日わざわざ会っていただき、
さらにここまでお話をしていただき、本当に感謝しております。



絵美子さん 夢影博士は関西弁があまり出ない人ですね。

そうですか。東京だと、いやがる人もいるから、抑えてるんだと思います。

絵美子さん あ、今の、ちょっと出てましたね(笑)。

絵美子さんは沖縄方面のかたかな?と思ってたんですよ。

絵美子さん 
よく間違えられるんですけど(笑)、東京出身です。
沖縄には2005年に住んでたことがありました。 知念村
(ちねんそん。現在の南城市)
です。 
それまでも好きでよく旅行にいってました。
「イチャリバチョーデー」
(出会えば兄弟)
な歓迎のしかたや、
逆に別れがサラッとしているところが心地よかったんですね。
それがあるとき病気になってしまって、自宅の階段が上れないくらい筋力が弱って、
不整脈もひどくて自分の心臓の音で眠れないくらいだったんです。
そこにきて生来の医者嫌い。 
思いきって、療養に専念することにして、沖縄に住んだんです。
1年かけて病気になったなら、2年かけて治そう、って。

向こうでは、起きたくなったら起きる、歩きたくなったら歩く、お腹がすいたら食べる。
それまで、頭と体が別物になってたんで、体の声を大事にしようと。
頭と体をもう一度ひとつにしたかったんですね。


洞口依子さんのファンになったきっかけは?

絵美子さん 
沖縄から戻った2006年に依子さんのブログを見つけました。
沖縄の情報が載っているサイトで、『マクガフィン』の告知を見たんです。 
『パイナップル・ツアーズ』は見ていたので、當間監督のお名前は知っていて。
そこから依子さんのブログにたどり着きました。

2006年というと、今とはちがって依子さんのブログはアップ&ダウンの波がすごかったですよね。

絵美子さん あぁ、他にも、こうやってもがいている人がいるんだな、って思いました。

ご自分の姿に重なりましたか?
  
絵美子さん 
重ねるのはおこがましいんですけど、重なる部分に親近感が湧きました。
あの頃の依子さんのブログは、プロフィール写真が、
ケーキを作っているスナップだったんですね。
あれが好きだったんです。
闘病している人の顔だと思って。毒気を抜いています、って顔に見えました。
女優さんなのに、あんな写真を載せて、
文章も、抑えているときもあれば、発散しているところもあって、
同じ人間なんだなと思いました。
あの写真を載せる勇気を尊敬したり、逆に、後悔したりもするんだろうなって想像したり。

いろんな波があるところに惹かれたんですね。 人間まっすぐな線だけでできてるわけじゃないですもんね。

絵美子さん 
わたしも病気のときにはメンタルな面で波が大きくて、
周りの人からも「大丈夫?大丈夫?」って気遣われると、
そんな心配してくれるより、おもしろいこと言ってよ!って思ったり(笑)。
でも、依子さんのブログを読むと、そういう波を抑えなくてもいいんだな、って思えたんです。
調子の悪いときはあるよね、って。

体に無理して女優を続ける気持ちも、すごくよくわかりました。
私も、なんとか普通の生活に戻ろうとしたんだけど、
戻りたいからというより、病気から逃げこもうとしていたり、
周りから心配されるのがいやで、いかに普通に見せるかだったりとか、
平常を装うことに必死でした。早く元気になることを求められているようで。

でも、そんな「早く」より、私にとっては、早くあのプロフィール写真の依子さんみたいに、
あんな顔になれるくらいに抜けだしたいと、励みに思ってました。
依子さんは、きっとあの写真の顔から変わっていくんだろうなと思ってたし、
それから依子さんの顔がどんどん変わっていくのを見ながら、
わたしも変われるんだ!って望みを持てました。
すがるような気持ちでした。
友達と会うのも億劫な日々で、そんな時期の私には最高の解放区でしたね。
おかげで、いまでは平日の夜に依子さんのライヴに行けるまで元気になりました!

それは、「自分で企画して、平日の夜にライヴできるまでになった」人がいるということでもありますよね。
依子さんの『子宮会議』を読んだときはどうでしたか?

絵美子さん 
素直に泣けました。
私は大きな手術をしたことはないけれど、依子さんになりきって読んだのかもしれないし、
自分の中のなにかに響くのかもしれないし。

いろいろあって、身辺整理をしているときだったんです。
人間関係をリセットしたり、持っているものをたくさん捨てたり、
あとは涙をだしきるだけだ!と思っていたので(笑)、
そういう意味ではたいへんお世話になりました。

『子宮会議』でとくに心に残る箇所はどこですか?

絵美子さん 
車道に飛び出して死のうとする場面です。
よくある話といえばそれまでなんだけど、
私にも、そんな刹那的な思いがつねにどこかにあったりしたし。
それまで、病気を治したいという自分の気持ちは、医者をがっかりさせないようにとか、
親や友人に心配させないようにとか、自分のためではなかったんですね。

自分で元気になる日なんか考えられなかったし、
そういえば病気を治したいと心から考えたこともなかったかもしれない。
それが、『子宮会議』やブログのヘビーな文章を読むたびに、
「あなた、元気になりたいでしょ?」って言われてるようで、心に響いてきました。

ヘビーなところが、後押ししてくれてたんですね。

絵美子さん 
いま読み返しても辛い部分ではありますけど、
読むたびに、自分の受け止め方も変わるんです。


最後の「ただいま」って、何に対して言ってるんだと思いますか?

絵美子さん なんでしょうね。それも読むたびに変わっていく。
いまこの瞬間のイメージだと・・・
最初にお母さんと一緒に写ってる写真があるから、
お母さんのおなかの中に帰っていくところを想像するんだけど、
もっと大きな、地球とか、ほかの惑星とか、宇宙とか、
大きなものの中に帰っていくイメージですね。
でも、それも次にはまた変わってると思います。

リーディング・セッションは何度かご覧になりましたか?

絵美子さん 
真夏の夜の夢」(2007年8月)と「Paititi Goes To Pop Planet」(2007年11月)、
そして一昨晩の「
のら猫集会」。
依子さんのリーディングも、見るたびに変わってきてるんですよね。

わたし自身の変化と関係あるかもしれません。
よくなりたいとか、元気になりたいとかいう気持ち以上に、
わたしの根底にあったのは「変わりたい」という気持ちだったんだと
気づかされます。
そして、「変わっていくことができるんだ!」って励まされます。


リーディングの変化が、ご自分の変化と重なるのはおもしろいですね。
依子さんの魅力について教えてください。

絵美子さん それはもう、わたしがめざす天真爛漫さと、
それだけではいられない現実との間で、
あやういんだけどバランスをとってるところですね。
あれだけ、東京で仕事を持っている女性で、自分で風変わりな人間と認めているのに、
結婚して、しかもその結婚も既成の価値観にとらわれないものだし。
いろんな概念を変えてくれる。

大丈夫かなと思わせながら、ちゃんと自分の渡り方で渡っていくところがありますね。
私もよくハラハラするんですけど、最後は見事に着地するし、なによりも渡り方がカッコいい。
均整のとれた感じじゃないところが。

絵美子さん そうですよね。ホントにそこがいいんですね。
それとは正反対の、取り乱さない人もいいと思うんですけど、
依子さんのあやうい感じの、誰もが許したくなるようなところは凄いですよね。
心のままにできるのが、すごいなぁって。
たぶん、しようと思ってやってるんじゃないだろうなぁと思うんですけど。

独自の嗅覚がすごいなぁと思うんですよ。
考えながらというよりも、においで辿っていっているようなところがある。

絵美子さん 猫ですね(笑)。

だから、筋道みたいなものは見えないんだけど、あとで「そういうことだったのか」って。

絵美子さん ふりかえると、足あとが残ってる。

「足あとが残っている」!名言ですね。
ほんと、そいう感じです。
実際に依子さんに会ってみて、印象は変わりました?

絵美子さん 変わりました。
もっと高嶺の花って感じかと思ったらそうじゃなかった。ホッとしました。
それと、ふらっと立ってるたたずまいだけでも、輝いている。
あれにはやられました。
だから、いつも見ていたい気がするんですけど、
それはきっと迷惑だろうなって思います。猫だから(笑)。

でしょうね(笑)
これから依子さんのどんな面を見てみたいですか?

絵美子さん 絵や造形を見てみたいです。
私も美術系の学校に行っていたので、
依子さんがどういう絵を描くのか見てみたい。
でも、期待するとやってくれなさそう(笑)
あと、ヨリコ・ブランドの服を売ってるところがあれば、通うと思います


どんな服が置いてあるんでしょうね。

絵美子さん いろんなものがありそうですよね。片隅に島草履があったりとか。
そんな店があったら大ファンになると思います。


依子さんのいろんな活動を見て、いろんなタイプの依子さんがいるなぁと思いますか?
それとも、ぜんぶ同じ依子さんだと思いますか?

絵美子さん ぜんぶ同じ依子さん。同じものが流れてますね。
着物をきてようが、猫の耳をつけてようが、それは変わらないと思います(笑)

とてもお話のしやすいかたで、こちらも安心して進行することができました。
最初に絵美子さんに伺えたことは、とてもラッキーだったと思っています。

何巻もある長い小説を読むのが好き、という絵美子さん。

「洞口日和を読むのが好きなんですよ。
なかなかぜんぶ読み終わらないんですけど(笑)。
いつ読破できるんだろうって思います。
まるで『失われし時をもとめて』ですよ」

「え!あれを読まれたんですか?」

「2巻で挫折しました(笑)」

「2巻まで行けたら凄いですよ」

あはは、と快活に笑う絵美子さん、
たどりつけないページを、迷宮を、ご自身で作っちゃいましたね・・・

というような感じの企画です。
絵美子さんのお答えが、完璧に私の意図に答えていただいたし、
それ以上に、私がやりたかったことを教えていただきました!
本当にありがとうございます。

(2008年10月25日 渋谷にて) 


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