『天才てれびくん・電脳ウォーズQ』(1996)

Miss Xだよ、Miss X !

えぇと、『天才てれびくん』で検索かけて来られたかたには最初にお断りしておきますが、
このページは洞口依子さんのファンサイトの出演作解説です。
したがって、この回のディレクターが後に洞口依子さんのダンナさんになる人で、
CGをパイティティの石田画伯が担当されている、という能書きに、おっ!と膝を乗り出す人でないと、
以下の文章はまったくおもしろくありません。
その2つの興味が重なる人、いるかな?

で、Miss Xなんですが、これは依子さんが、子供の頃に空想の中で登場させていたというキャラクターです。
「空想の中で、アタシがいたずらをするときに、Miss Xというキャラになりすましていた」(『 ボイズンガルズ』より)
あのハロウィンでのイベントのとき、チャージを払った人の手の甲に捺されたスタンプ、
あれがMiss Xです。

そんなMiss Xの絵が、ほんの一瞬、これより短かったらサブリミナルかというくらいの尺で登場します。
後半最後のゲーム、「ゴー!ゴー!ヌルピュー」で、ちょっとルーシー・イン・ザ・スカイなタッチのCGに移る直前です。

以上。

って、おいおい、Miss Xの発見だけで終わるところだった。
なのに、なんなんだ、この私の達成感は。

しかし、さすがにそれじゃあマズいだろう、ということでもう少し見て行きますと、
依子さんは、てれび戦士(子供チーム)とクイズ対戦する大人チームに参加しています。
ティアラなんかつけて、他ではまず見られないお姫様コスチュームに身を包み、イェ〜イ!と叫びます。
MCのキャイ〜ンに「洞口さんって、こういう人だったんですかぁ?」とツッコまれ、
涙をぬぐうリアクションをしますが、番組中、ずっと笑顔です。白目を一度も見せないくらい、笑っています。
あの『蔵』の前半での依子さんを思わせます。

しかしこの依子さんの出で立ちをすんなり納得させてしまう人が隣りにいます。王様です。
1996年ですから。「湖上の煙」「高速道路の星」を含む『深紫伝説』、「波乗り米国」「いい振動」を含む『浜っ子伝説』の頃です。
後者では山下達郎氏がコーラスに参加しているという。

で、そんな王様がいて、さらに大槻ケンジ、青田典子って、そんなチームの中にいるわけですから、怖いもんなしです。
青田サンって、もうこの頃からすでに「いじってほしい」オーラが出まくってますね。まだC.C.ガールズの頃でしょう?
オオケンなんか、二日酔いまるだしの顔色で、ほとんどしゃべっていません。
彼も、キャイ〜ンに「オオケンさんだけ、西新宿のにおいがします」と言われてるし。

それにしても、淡々とした空気のなか進行する番組です。
大人チームと子供チームに分かれていて、どちらからもほとんど絡んでいかないからなのか?
和やかというのでもないし、ほのぼのでもない。
いや、この大人がヘンなんだよな。
なんというか、教室の四隅にぽつんと散らばっている変な生徒が4人集められたような。
どれも強力な個性の持ち主なんだけど、視聴者も含めた子供向けにわかりやすくアピールしないのがおもしろい。
最初に王様だかオオケンだかが、対戦相手の子供たちを指して、
「ぼくたちよりTV馴れしてるじゃないか」「自分たちの子供の頃は、あんな自然体でTVに映れなかった」
とコメントしているように、
大人と子供というより、みんなで遊ぶのが苦手な少数派が正反対の多数派に混じっているような、
肩身の狭さや居心地の悪さが、うっすらと空気の温度の低さとなって底のほうで流れているんじゃないでしょうか。

彼らのそれぞれのファンが、この番組に映っている彼らの姿から、
いろんなことを想像したり感じたりできるような気がします。
そしてそれが案外、魅力の一端に結びついたりするかも。

ということで、私の場合は、Miss Xなのでした。


1996年11月1日(金) 18:00〜18:25
NHK教育テレビにて放送

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