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Paititi Discs And Songs (remain the same)

パイティティのディスク未収録曲について

これまでパイティティがバンドとして行ったライヴは、当サイトで把握しているものだけで21回。

☆渋谷アップルストア
☆「マクガフィン前夜祭・パイティティ@沖縄ライブ withやちむん」BARスカラベ
☆23時からは、那覇市牧志のMAFALi CAFE
☆沖縄首里劇場
☆下北沢 風知空知
☆渋谷アップルストア2回目
☆デロリ「真夏の夜の夢」
☆デロリ「Paititi Goes To Pop Planet」
☆恵比寿ガーデンホールでの「メレカリキマカ 大人の学園祭2007」
☆代々木公園のアースデイ・イベント
☆原宿Cafe Studio
☆吉祥寺 スターパインズカフェ
☆那覇桜坂劇場
☆横浜 サムズアップ
でウクレレ・ピクニックの前夜祭
☆「ウクレレ・ピクニック2008 vol.9」
☆JZ Brat 「真夏の夜の夢スペシャル」 
☆「洞口依子 のら猫集会〜Trick or Treat! お菓子ちょうだい!」
☆代々木公園アースデイイベント(石田画伯&洞口依子)
☆渋谷アップルストア3回目
☆「洞口依子映画祭」featuring やくしまるえつこ(相対性理論)
☆「洞口依子映画祭」 映画『ウクレレ パイティティ・ザ・ムービー』上映イベント

(うち、当サイトでレポートした10回ぶんは→http://www.yorikofan.com/paititi_live.htmlでどうぞ!)

こういうライヴ・パフォーマンスでは、CDに収録されない曲が聴けるのも魅力です。
ここでは、私が把握している、そうしたディスク未収録の曲について書いてみましょう。

まず、いきなりですが、最初の最初、渋谷アップル・ストア(2007年4月15日)。
え?未収録なんてあった?とお思いのかたもいらっしゃるかも。
そうなんです。
このとき演奏されたウクレレ・ランデヴーは、歌なしのインストだったんですね!
http://jp.youtube.com/watch?v=QLcEENKOcUM&feature=PlayList&p=542DDA0AF526379C&index=9
このときの画伯のリードを聴いたとき(その場にはいなかったので、後からですが)、
なんてエッジがあってカッコよくリラックスしたリード・ウクレレなんだ!と小躍りしました。
もしヤードバーズがウクレレ・バンドだったら(なんちゅう仮定だ)、
ジェフ・ベックの相方はこの人しかいなかっただろう、そう思いました。

下北沢のバー「風知空知」でのライヴ(2007年6月10日)は、この日、急遽決まったもの。
洞口依子さんのサイン会があったんですね。
それのバックアップ軍団(笑)みたいな感じでパイティティが応援に来ていて、
会場前の道で演奏したりしたんですね。上を向いて歩こうなどを。
その流れで、じゃライヴやっちゃおうか、というノリだったんです。

このときは、ビートルズのIn My Lifeが、画伯とヨーリーのウクレレ・デュエットで演奏されて、
以後もこの曲のカバーは聴きましたが、私はこの日が最高だったと思っています。
同じ編成で、虹の彼方へも演奏されました。
この日は完全未発表のオリジナル曲具志豆腐も演奏されました。
これは依子さんの作曲で、タイトルどおり沖縄を連想させる旋律を持った曲。

デロリでの伝説的な「真夏の夜の夢」(2007年8月4日)では、
ティティがインストでスティーヴィー・ワンダーのIsn't She Lovelyをカバー。
原曲以上にラフで締まるところの締まったカッコいい演奏でした。
ちなみに、ティティなどという呼び名をつけたのは私です。

このときは、ギタロンのタケシさんがギターでイエスのMood For A Dayを独奏。
続いて画伯もギターでタル・ファーロウを独奏していましたが、曲名を把握できていません。
それから、映画『恋愛睡眠のすすめ』でヨーリーが当時ハマっていた
If You Rescue Meを彼女のヴォーカルでカバー。
これは、原曲がヴェルヴェット・アンダーグラクンドなので、デロリにも合ってましたね!
さらに、サザンの関口和之さんとのデュエットで、ビートルズのHere, There And Everywhere
そしてヨーリーが関口さんのウクレレで歌ったのが真夏の果実
今でもあのときの店内の熱気がよみがえってくるかのようです。

やはりデロリでの「Paititi Goes To Pop Planet」(2007年11月16日)では、
いきなりオープニングがジャコ・パストリスのChickenでした!
ファルコンがノリノリで弾きまくっていたのを見て、なんなんだこの若者は、と驚きました。
この夜は、「ガンガンゆるゆるしようぜ!」とでも言いたい不思議なグルーヴがよかったなぁ。
そして、ヨーリーのヴォーカルでハマりすぎだろうというくらいハマったFemme Fatal
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーでした。
また、この日は水晶玉の秘密が初めて披露された夜でしたね。
ヨーリーがフィンガー・シンバルを鳴らしながら登場する姿が脳裏に焼きついています。

代々木公園のアースデイ・イベント(2008年4月19日)では、
新曲としてバースデーが演奏されましたが、これはのちにピクニックとしてアルバム収録されました。

ヒカシューのライヴにゲスト出演した吉祥寺スターパインズ・カフェ(2008年6月26日)では、
ヒカシューのカバー、パイクとサディスティック・ミカ・バンドのピクニック・ブギが披露されました。
http://jp.youtube.com/watch?v=GlGFgmqSA6A&feature=PlayList&p=542DDA0AF526379C&index=6
この動画でのパイクでの画伯とヨーリー、なぜかシュガー・キューブスのライヴを想起させます。

那覇桜坂劇場(2008年7月6日)では、涙そうそうのカバー。
これは沖縄のファンへのサービスということ以上に、『子宮会議』とのつながり、
そしてあの本とパイティティと『マクガフィン』を結ぶ場所としての沖縄を深く意識させるものでした。

JZ Bratでの「真夏の夜の夢スペシャル」ではなんとエリントンのキャラヴァンをカバー。
薫さんがピアニカ片手にヴォーカルをとる渋さと、バンドが一丸となった演奏の迫力。
すごかったなぁ。
また、中西俊博さんに倉井夏樹くんも入ってのグラッセ・マヌーシュ
これはアイスクリーム・ブルース のマヌーシュ版といえる、アップテンポで跳ねるような楽しい編曲。
再演して・・・はむずかしいか、やっぱり。
でも、終演後に中西さんが「とっても楽しかった!」と満面笑みでおっしゃっていた
あの感じ、あれなんだよなぁ、パイティティのライヴのよさって。
だって、観てるほうにもその思いが届いたんだもの。

デロリで開かれた「洞口依子 のら猫集会〜Trick or Treat! お菓子ちょうだい!」では、
30分の短いセットながら充実したライヴがありました。
まず、永六輔&中村八大の名曲黄昏のビギン
水原弘やちあきなおみ、とくにちあきさんの歌唱があまりに有名で、
カラオケで歌う人はちあきさんになっちゃう曲ですが、
依子さん独自の解釈でカヴァー。
http://jp.youtube.com/watch?v=Sj5c2RupG_4&feature=PlayList&p=542DDA0AF526379C&index=1

提案。
もし今後、いろんな地方でライヴが実現するなら、ご当地ソングをカヴァーしてほしい。
大阪なら「雨の御堂筋」(ギターがヴェンチャーズ化するか?)か、
いやいや、吉本新喜劇の昔のテーマ(Somebody Stole My Baby)もハマるなぁ。
個人的には「石狩挽歌」や「伊勢崎町ブルース」などを、依子さんの唄で聴いてみたいです。

おなじイベントではウクレレランデヴーパイクの新ヴァージョンも。
前者はうねりまくるファンクロックに変身。
http://jp.youtube.com/watch?v=T2gsyRuqw_Y
後者はダークなゴシック風味のオルタナ版。ちょっとブラック・サバスも連想しました。
ハロウィン集会だったから?

と、かなり駆け足の人生でざっくり思い出してみましたが、
いい音楽であればジャンルを問わない、そんな音楽馬鹿の魂が伝わってくるレパートリーです!
私の脳内i-podではこれらの曲でプレイリストが作成できるくらいなんですが、
やっぱり、これを更新していってほしいです。ファンというのは底なしに貪欲。
パイティティは、カッコよさのヴァリエーションが豊富なので、
原曲の意外な魅力も引き出せちゃうんでしょうね。

追記追記。
2009年の11月に渋谷シネマヴェーラで開催された「洞口依子映画祭」では、
スペシャルイベントの一つとして、まず相対性理論のシャントゥース、やくしまるえつこ嬢を迎えて、
なんと相対性理論のカバー3曲!(「地獄先生」「スマトラ警備隊」「LOVEずっきゅん」)。
やくしまるさんのウィスパーとウクレレの音の奇妙なマッチングに驚かされた本当に素晴らしいパフォーマンスでした。

次のフライトが待ち遠しいですね!
 
デビューアルバム!その名も『Paititi』

発売日: 2008/07/09
レーベル: ジェマティカ
品番: RSCG-1041

2月の、いちばん寒い頃にレコーディングされたのでした。

私がスタジオに取材した日、石田画伯はマスクをしていました。
風邪をひいてしまった、とのことで。
にもかかわらず、連日ぶっとおしで作業を続けていました。

だだっ広いスタジオでした。
その端っこに遠慮がちに、小さな机が置かれていて、そこにPCと楽器が並んでいるだけ。

「ウクレレ・ランデヴー」と「ピクニック」を録っていました。
歌とウクレレを録り終えると、依子さんはボウリング・レーンみたいに長い空間を、
『カリスマ』の神保千鶴役のときのように、スキップしたりしていました。
画伯はひたすらモニターとにらめっこ。
その日、終わったのが深夜1時をまわっていました。
スタジオの外に出ると、猛烈に吹雪いてきたのをおぼえています。
それから遅い夕食のあと解散となったのだけれど、
石田画伯が帰った先は、スタジオなのでした。

それで出来上がったアルバムを聴いてみると、どこにも雪は降っていない。
誰も風邪なんかひいていないし、あのスタジオの風景はかけらもない。
イギリスのヴィレッジ・グリーンやパリの街角や南海の小さな島が目の前に広がります。
やがてそれは白い飛行機雲になって、ツイン・ピークスすれすれで垂直上昇し、
ミルキー・ウェイのかなたへと姿を消すのでした。

どれも曲がいいし、アイデアが溢れています。それでいて才気に走りすぎていない。
ちゃんとウクレレの響きで、ウクレレで鳴らされたことのなかった音が鳴っています。そこがいい。
柔らかくて可愛いのに、ブリティッシュ・ロックのようなエッジが立っているのも面白いです。

そして、なによりも、モニターの前から動かない、ブライアン・ウィルソンのような、
ちょっとマッド・サイエンティストっぽかった石田画伯の頭の中で鳴っていた音が、
ここまで多くの人へと橋渡された音楽に姿を変えていることに、私はいちばん感動します。

★ 曲紹介

M-01 Deux Paris / パリのアベック 
   
ライヴのオープニングで聞きなれて当たり前になっているけれど、
イントロのウクレレによる3つ打ちリズムは、じつはとっても新鮮です。
少しずつ音数が増えていくのがライヴとはちがった味わいですが、
これ見よがしなところがないのは、センスのよさでしょう。
カホンの乾いたパーカッション・サウンドと口琴の音色が、リズムのアクセントをゆるくしてくれます。
途中入ってくるトイ・ピアノが一瞬コードを濁らせそうになって、ちょっとレッド・ツェッペリンみたい。
渋い遊びです。

M-02  Theme of PAITITI Airlines / パイティティ・エアラインズのテーマ
   
パーカッションのあとに鳴る最初のワウ・ギターを初めて聴いたときに、
オォ〜ッやりましたねぇ!と感嘆しました、この曲。
翔け上がるようなストリング・サウンドが、パイティティ・エアラインズの離陸を告げます。
窓の外に広がる「ツイン.ピークス」や「天の川」を案内する機内アナウンスに、
70年代ホームドラマのテーマ曲を思わせるスキャットまで入って、アットホームで快適な空の旅のイメージが広がります。
ヒカシューの坂出雅海氏が弾くベースと、バックでうっすらと鳴っているファルコンのワウ・ギターが、
ウクレレに絡みながら曲をドライヴさせてゆくほか、エレクトリック・シタールや、
リバーブを深くかけた蹄(ひづめ)のような音など、とにかく4分弱の曲の中にアイデアが賑やかにあふれています。

M-03 Picnic / ピクニック
   
3本のソプラノ・ウクレレを重ねて、その高音での切れ味をうまく活かしたカッティングに、
アタック感の大きいファルコンのベースと薫さんのタフでヤンチャな色気のあるドラム。
リズムのノリとメロディーのよさが相互に作用しあって、そのまま楽曲の魅力となっています。
ここでファルコンが弾いているベースは、サザンオールスターズの関口和之氏所有のゴム弦ウクレレ・ベース。
不思議な弾力性を感じさせる太い音が、リズムに独特の表情をつけています。
手拍子も入って盛り上げるソロは、カズーが担当しそうなフレーズですが、なんとスライド・ギターで泥臭くアレンジ。
こういう、直球勝負とはべつのひねったセンスもパイティティの持ち味で、スパイスでもありますね。

M-04  Ukulele Rendezvous / ウクレレ・ランデヴー
   
昭和歌謡やスタンダードに手が届きそうな、懐かしい味わいのメロディー。
囁くように歌う依子さんのヴォーカルが、古い日本映画、いにしえのフランス映画、
そしてハリウッド映画などのイメージを振りまいて、さすが女優のセンスと技。
メインのヴォーカルのバックで、やはり依子さんがさらにかすかに囁いています。
この2枚仕込みの歌声のバックで、チャイムなどの鳴り物に口笛などがさり気なく聞こえてきて、
キャッチーな印象に仕上がっているのがいいです。
全体の余裕と遊びごころには、レス・ポール&マリー・フォードの影響もあると思いますよ。
原口智生監督によるセクシーなPVも秀逸です(→
http://jp.youtube.com/watch?v=WmcHpdGN_8Q

M-05  Sugar Time / シュガー・タイム
   
石田画伯のウクレレ多重録音に薫さんがドラムをつけた、小品と呼べるナンバー。
ライヴではこれに依子さんが貝殻ピックでスライド・ウクレレを披露する見せどころ。
快活に転がるようなメロディーは、このアルバムの中でもとくにすぐれた出来ばえ。
ドラムの音のオフ気味な距離感がいいです。エンディングで高い音へ昇っていく展開もしゃれてる。

M-06 The Song for Sleep Rat / ねむりねずみのうた
   
中西俊博氏の感情のこもったヴァイオリンの傍で、淡々とリズムを刻むウクレレ、
そしてつぶやくような依子さんのヴォーカルが加わるナンバー。この3者のコントラストが絶妙。
「ウクレレ・ランデヴー」のときより、さらにけだるく、やがてはアクビに変わってゆくまでの表情のつけかたが秀逸です。
「ウクレレ・ランデヴー」と合わせて、洞口依子ファンを魅了する1曲。
小品ながら、すでにライヴでは欠かせないレパートリーになりつつあります。

M-07 Chocolat PAITITI / ショコラ・パイティティ
   
アルバム中、ジャズの風味がいちばん強調された曲。
コントラバスの重低音とむせび泣くようなハープの音に、これまたウクレレが乾いた音色で寄り添う、親密な音の会話。
ハーピスト、夏樹くんの、19歳とは思えない渋い音の選びかたは大器を感じさせます。

M-08 Clockwork Dollhouse / クロックワーク・ドールハウス
   
石田画伯がリード.ヴォーカルをとるミディアム・テンポのにぎやかなナンバー。
マーチの足音を模したようなウクレレが、重厚なブラスを堅実に引っ張っていくさまが可愛い。
途中のオモチャ箱をひっくり返したようなホーンのざわめき、そして終盤の逆回転など、
石田の中期ビートルズやモンティ・パイソンへの敬愛を感じさせる遊びがいっぱい詰まっています。
ヒカシューの巻上公一氏が、声とコルネットで参加。

M-09 Chachacha Island / チャチャチャ島
   
マーチング風に盛り上がる前曲からこの曲への流れが、アルバム中いちばんスリリングな瞬間。
スティール・パンと口琴が南国気分を高めたところで、テルミンの音色が不穏に鳴り響いてのサイケな展開が、
パイティティならではのひねった味わいですね。
後半にはファルコンの弾くラップ・スティール・ギターも彩りを添えて楽しめます。
メロディーとリフが一体になったようなウクレレの簡潔な響きもいいです。

M-10  Lovely Garden / ラヴリー・ガーデン
   
トラツグミの声が入っているので、「ブラックバード」を思い出さずにはいられません。
石田画伯のウクレレ・ソロで、午後の終わりの名残惜しさとひとときの安らぎを感じさせます。
 
M-11 Bon Appetit / ボナペティ
   
ボーナス・トラック。
3曲入りマキシ.シングル「マクガフィン」に収録されていた曲で、新たにマスタリングされています。
1曲目の『パリのアベック』と姉妹編のような旋律なので、通して聴くと、まるでパリからローマへの旅ですね。


全体に、可愛いくまとめた味つけがよくて、色とりどりの輸入雑貨を見ている気分にさせてくれますが、
次のアルバムでは、ライヴでのいなせでバンドっぽいラフなノリやグルーヴも、もっと聞けたらいいなと思います。
それはウクレレ・ロックの次の扉ということなのでしょう。


★アルバムの制作過程:  「洞口日和」レポートyoutube動画で立体的に。読んでから見るか見てから読むか!
★パイティティのライヴ・レポート:
Paititi Live Report

HMV→ http://www.hmv.co.jp/product/detail/2723894
タワレコ→
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1820917&GOODS_SORT_CD=101 

 


★パイティティの1stマキシ・シングル「MacGuffin」(3曲入り) 

 
ハイラブ・レコーズ
品番:HLR20071
税込 ¥1,000

2007/2/28 i-Tunesストアダウンロード開始
2007/3/10 ストア発売

洞口依子さんの映画復帰第1作となった『
探偵事務所5 Another Story File7 マクガフィン
のサントラに使用された3曲を収録した、デビュー・マキシ・シングル。 

パイティティの音楽は、
ウクレレを使っているからといって、ハワイアンにあらず、
ラウンジ/モンドっぽいところもあるけど、小ジャレてはいないし、
「アコースティック・スウィング」などと形容することもできますが、それだけでもない。
じゃあ、いろんなタイプの音楽をやってるかというと、見事にカラーが統一されている。

これは本当にキュートで愉快で、しかも深い音楽です。

まず、「Bon Appetit!」は、
弾むリズムに乗せて、サイレント映画の伴奏曲のような人なつっこいメロディーが繰り返され、
ジョーズハープのビヨ〜ンという音が、絶妙なアクセントになってます。
途中、鉄琴(グロッケンシュピール)と口笛の二重奏がさりげなくはさまれたり、
凝った音作りをしているのに、ぜんぜん暑苦しくないし、これ見よがしでない。
これに、とってもシンプルなベースがからんでくるのですが、これは依子さんが弾いているのでしょうか、
すごく「笑ってる」し、なにより「踊りたくてウズウズしてる」様子が伝わってくる、表情豊かな演奏です。
曲の中半、ベースがリードを取る(寸前までいく)展開も、なかなかカッコいい小わざだと思います。

「MacGuffin」は、
依子さん出演のネット発信映画『探偵事務所5 Another Story File7 マクガフィン』のテーマ曲。
リバーブのきいたギターにウクレレの硬い音が訥々とからみ、
真昼の妖しい夢物語のようなイメージが広がってゆきます。
冒頭の旋律が繰り返され、ひたすら入り口をウロウロしているかのように思えて、
いつのまにか別世界に連れて行かれてしまいます。
ここまでサイケデリックに響くウクレレ音楽を聴いたのは初めて。
なぜか、タイニー・ティムの、ほのぼのと捩れた世界の入国印が見えたりもします。
マネしているわけでもないのに。

「Icecream Blues」は、
タイトルどおりブルースふうの曲調ですが、
途中でアイスクリームが溶け出すかのように、ノスタルジックで甘いメロディーに移っていきます。
私、依子さんがTVで爪弾いているのを見たときから、この曲が好きです。
終盤のマンドリン奏法は、ウクレレのように、弦と弦の間が離れて、なおかつフレット幅が狭い楽器では、
きれいに鳴らすのが難しいんですよね。
 

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