『世にも不思議なオムニバス・フローズンナイト』(1989)

1989年8月19日にフジテレビ系列で放送されたオムニバス・スリラーです。
ビデオのパッケージ裏には、次のようなコピーが書かれています。

”バカヤロー”の面白さと
”トワイライトゾーン”の恐怖が出合った!
真夏の夜の怪作4話を収録したオムニバス作品!

まさにその通りで、『バカヤロー!』『トワイライトゾーン』というタイトルに、時代がにじみますね。
それが言いたくて引用しました。

4話収録として紹介されていますが、最初のエピソードはプロローグ的なものです。
ただし、このプロローグは、最後の最後のどんでん返しと共に、間の3挿話をはさんで、
独立した話としてもじゅうぶん味わえるので、4話という言い方は間違ってはいません。

左とん平さん演ずるタクシーの運転手が、夜中に青山墓地前で若い女を乗せます。
同業者の間で、「すでにこの世にいないはずの女を青山墓地から鎌倉まで乗せた」という
話が囁かれている折、運ちゃんがビクビクと応対すると、この女が現代の怪談を次々に語り出します。
この女が依子さん。
真っ赤なフードを頭からすっぽり被り、ちょっと『狼の血族』の女の子(サラなんとかって言ったな)を連想させます。

依子さんはこの作品と前後してやはりオムニバス・スリラーの『危ない話』(こちらは映画)にもワン・シーン出演されています。
そちらでは、依子さんのセリフまわしに、なぜか東京以外のイントネーションが聞き取れたのですが、ここでもあるんですよ!

いや、なにも「!」付けるこたぁないのですが、私のようなヨーリー・マニアには、こんな程度の「発見」でも、
「ヨーリイカ!」(※)
と叫んでしまうほどのものなのです。
依子さんの役は狂言回しで、語られる話には直接登場しませんが、最後にどんでん返しが付き、さらにまたひとひねり。

本編にあたる三つの挿話は、どれもいい仕上がりです。
野村真美さんと森本レオさんの不倫の顛末を描いた二つ目が、どうしても『愛という名のもとに』の前哨戦みたいに思えますね。

しつこいけど、依子さんのあのイントネーション、気になりだすと聞き流せなくなってきます。
私だけでしょうか。でしょうね。




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