勝手に見やがれ!!入門計画
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★映画なら、なにはなくとも『マクガフィン』

まず、なにはなくともマクガフィン。
『 探偵事務所5 Another Story File7 マクガフィン 』です。

『探偵事務所5 Another Story 7 マクガフィン』AVBF26056

洞口依子さんを最近知った、というかたには、沖縄、闘病という話題から入られたかたが多い。
そこからブログで最近の依子さんに惹かれ、どういう女優さんなんだろうと興味を持たれたのであれば、
まずはこれでしょう。
東京から沖縄にやってきた依子さん演ずる謎の妊婦・成子と藤木勇人さん演ずる探偵の
チグハグなようでどこか温もりのある時間。
とにかく、現在の依子さんにとって、ある意味で出発点ともなった、重要な一作です。
これほど美しい出産シーンというのは、ほかにあるのか・・・あんまり詳しくないんでわかりません。
依子さんがウクレレ&ヴォーカルなどで参加するバンド、パイティティの「非」国籍音楽が鮮烈。
石田画伯の手になるアニメーションも、最高のタイミングで出てきて、
依子さんと共演陣、當間早志監督やスタッフとの絆の深さと厚さに嫉妬すら覚えます。
時間が経つにつれて、私の中でも愛着が深まっています。
見てほしい。ホントにいい映画なんで。

この映画ともっともつながりの深い作品で、洞口依子さんファン必見の映画といえば、『ウクレレ PAITITI THE MOVIE』。

『ウクレレ PAITITI THE MOVIE』SJ-10931D

パイティティのドキュメンタリーです。
音楽映画としても楽しく、リラックスした大人の遊びごころとユーモアも満載。原口智生監督(『ミカドロイド』)ならではの特撮も満載。
そして、なんと黒沢清監督や関口和之氏、前述の當間監督にヒカシューの巻上公一氏といった方々の語るパイティティ、そして洞口依子。
PVやライヴ・シーンもほかの音楽映画とは一線を画するユニークなもので、最後は思わずジンワリ涙。
よくぞ作ってくれましたと欣喜雀躍すること請け合いの珠玉の好編。


デビュー作の『 ドレミファ娘の血は騒ぐ』は、女優・洞口依子が誕生する瞬間がとにかくまぶしいです。

『ドレミファ娘の血は騒ぐ』PIBD7072

「デビュー作にすべてがある」という言い方をしますが、当たってるかも。
オープニングの、不安に曇ったような、それでいて嘘を見透かすような表情がまず最高。
先ごろ不肖私がさせていただいたインタビューでも、依子さんは「デビュー時から変わっていないと思う」
とおっしゃってますが、演技の幅や奥行きといったことではなく、エッセンスということから考えて、
洞口依子はもうこの時点ですでに洞口依子だったということに、見るたびに驚きます。
これは愛しい映画だなぁ。黒沢清監督作品。

同じ黒沢監督作品では、ほかに『 ニンゲン合格』と『カリスマ 』を挙げておきましょうか。

『ニンゲン合格』は、長年の意識不明状態から目覚めた青年が出会うクラブ歌手の役。

『ニンゲン合格』 MFH1417

土手に腰かけてウクレレを少し爪弾いたり、なにより「月影のレヴュウ」という曲をフルで歌ったり、
現在の目と耳で再見しても十分に楽しみどころがありますね。
私は個人的に、このときの依子さんが大好き。
なに考えてるのか今ひとつ判然としない女性なんですが、世界に向き合うときの姿勢が自然で、
まやかしがない感じがとってもいいです。

『カリスマ』は、女優・洞口依子の素晴らしさに圧倒される作品ですね。

『カリスマ』KIBF55

黒沢監督は、いわゆる「ジャパニーズ・ホラー」の流れを作った監督でもあるので、
その作品の多くはレンタル屋でもホラーのコーナーにあったりします。
『カリスマ』は、かなりコワい映画なんですが、具体的に惨劇が起きるとか幽霊が出るという話ではなくて、
見ているあいだ、どこへ連れて行かれるのかわからないコワさがある映画。
これを見る前と見たあとでは、洞口依子さんに対する見かたが、もうぜんぜん変わってしまう。
大推薦の一作です。見た人全員とこの依子さんについて語り合いたいくらい。


伊丹映画はどれも入手しやすいでしょう。
というか、すでに見たよ、というかたも多いと思うので、ことさら声を大にはしませんが、
いろいろと依子さんの出演作を見たあとで見直すと、大きな感慨がありますね。
ここでは、『 タンポポ』と『マルサの女2』を。

『タンポポ』、牡蠣の少女役の初々しいエロティシズムは不滅です。

『タンポポ』 GNBD1062D

『マルサの女2』、ナナは不滅です。

『マルサの女2』GNBD1064D

『 部屋 THE ROOM 』は、これまた惹きこまれそうな依子さんの表情がいっぱい。

『部屋 THE ROOM』(入手不可となりました!でも外したくない)

ほとんど台詞はなく、黙っているかボソボソしゃべってるだけですが、これがいい。
全カットのスチールが欲しいくらい、私はこの映画のヨーリーのお顔が好きです。
見つけたらためらわずに手にとっていただきたいのですが、けっこうクセのある作品なので、
心積もりは必要かな。いらないか、そんなもん。


ポップな感覚の映像で知られる石井克人監督が、戦前の清水宏作品を「カヴァー」した『山のあなた 徳市の恋』。

『山のあなた 徳市の恋』GNBD-7101

湯けむり漂う温泉宿を舞台にした古くて新鮮な恋愛物語。
依子さんはこの中で、観音屋の女中として登場。
見た人の心にミステリアスな「いわく」を感じさせる強烈な存在感です。
正直、あの表情のアップはスクリーンで見なきゃ伝わらないけど、
逆に坐り姿の居ずまいなどは、TVモニターで見るほうが目に残ったりしますね。
オリジナルの『按摩と女』に登場する同じ役の女優さんと比較すると、
いっそう依子さんのユニークさに感じ入ります。

『パビリオン山椒魚』で一躍注目を浴びた冨永昌敬監督が太宰治の原作を独自のポップなセンスで映画化した『パンドラの匣』。

『パンドラの匣』GNBD-1149

主人公ひばりのお母さん役を演じて、原作にはない魅力的な人物像をつくりあげています。
冨永監督とは、この作品が縁となって相対性理論の「地獄先生」PVでも依子さんが出演。そちらもここに並べたいくらいのお薦め作です。


『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』PCBP-52133

こちら、大森立嗣監督の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』では、ワンシーンながら強い印象を残す・・・なんてものじゃない、
全編を通じてもひときわ忘れがたい場面をつくりあげています。
依子さんが登場し、映っているあいだの、映画にさらわれてしまいそうな磁力!見ているこちらの感情が想像力が渦になって巻き込まれていきそうな感すらおぼえます。必見です。


★ドラマでは、なんと言っても『蔵』

ドラマでは、時間のあるときに一気に見ませんか、『 愛という名のもとに』。



『愛という名のもとに DVD-BOX』 PCBC50578

上に挙げたような映画とはずいぶん雰囲気は変わりますが、それまで影のある女の子を
演じることが多かった依子さんが、どこにでもいる、普通の女の子の哀歓を熱演した人気作ですね。

それから『 北の国から’89帰郷』も人気ありますね。こういう役が多かったんですよね。

『北の国から'89帰郷』 PCBC50362

このへんは、レンタル屋でも常備なんじゃないでしょうか。

『ノースポイント ポートタウン』(全3巻 )は、北海道を舞台に、宮崎あおいさんとの母娘役での
共演が最大の魅力。依子さんはダメ母を演じてもなお色香が匂い立ちます。

『ノースポイント ポートタウン』「1 」BCBJ1541 「2」BCBJ1542 「3」BCBJ1543 

でも、ドラマでの依子さんとなると、『 蔵』でしょうかね。

『蔵 DVD-BOX』BVBH43006

新潟の造り酒屋を舞台に、うだつのあがらない、でも飾らない笑顔が可愛い芸者時代から、
後妻に嫁いだあとの壮絶な行く末までを演じきった、これも代表作に数えていい一本です。
自分の演技に対して点が辛い依子さんですが、この作品での演技については自己最高といえる
(それでも)「60〜70点」をつけられる、そうです。(
洞口依子さんインタビューvol.2

それから、最近レンタル屋でもちょくちょく見かけるのが向田邦子シリーズ。

『女の人差し指』REDV170
『思い出トランプ』REDV175
『響子』REDV181


『 女の人差し指』『思い出トランプ』『響子 』と、どれも凄腕の共演陣に囲まれて、
フレッシュな中にも肝の据わったところを覗かせて痛快です。

大河ドラマに出演したものでは、『炎立つ』がおすすめ。

『炎立つ 完全版 第二巻』(第2部「冥(くら)き稲妻」に出演)GNBD7396
『炎立つ 完全版 第三巻』GNBD7397


侍女、柾(まさき)を演じていて、これがいつでも本を手離さず、本の話しかしない、変わった女の子。
平安時代の重そうな衣裳に身を包みながら、どこか現代的な可愛さのあるキャラクターが素敵です。

もう一本、これは個人的な好みとして、滑り込ませてください!
『 戦慄の旋律』。

『戦慄の旋律』 ADE546

妙なドラマです。
一枚のレコードに取りつかれたがために数少ない友人を殺してしまった女子大生が、
このレコードを追い求める変な人間につきまとわれる話。
あぶないシチュエーションの中、依子さんの「無造作美」が際立ってます。
そして、こういう妙なドラマの中では、水を得た魚のように輝きます。

というような次第で、
「よけいに迷うじゃないか!」と戸惑いの声も聞こえてきそうですが、
あくまで、私の考えるお薦めですので、それぞれが自分にとってのお気に入りを探してください。
そういう楽しみかたのできる女優さんです。


「アナタの猫度」をチェックしてオススメする出演作品→http://www.yorikofan.com/winter_wonderland_checksheet.html


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