『森脇・山田の抱腹Z (ゲスト・洞口依子)』(1992)

80年代後半に関西でいくつもの番組を持っていた森脇健児・山田雅人のコンビのトーク・バラエティ。
1組のゲストがよばれ、性格分析などのゲームに興じ、最後に歌をうたうのがおおまかな構成だった。

洞口依子さんが出演したのは1992年5月23日オンエアの回。
トークの進行はかなりルースで、ゲストが喋りたがらない恋愛の話にしつこく食い下がる図も、
あまりいい感じはしない。

にもかかわらず、この回が興味深いのは、同じ年の3月に終了した『愛という名のもとに』が大きなトピックとして
取りあげられていること。
他局の番組でありながら、最終回の視聴率が32%を超えた人気ドラマだったこともあって、
あの作品について多く質問されている。
とくに森脇健児は劇中のセリフをいくつも暗誦してみせて、さすがにこれには依子さんも驚いている。

また、「第11回が(自分の演技のことは考えずに)一番見入った」という依子さんの言葉に、
すかさずその回について語りだすところなど、一歩間違えたら彼が当サイトをやっていてもおかしくないほど。
いや、(一歩間違うってのはよくわからないけれど)そのくらいあのドラマに入り込んでいる人は確かにいた。
誰かが「だーれーもーがー」と口ずさむと、誰かが「うぉおおおおおお」と答える、そんな光景をぼくも本当に目にしたことがある。
「あのドラマがあってから、ノリ(『愛という名の〜』での役名)として見られることが増えた」
という依子さんのコメントに響く戸惑いのニュアンスには、そんな32%の重みを今頃になっても感じてしまう。

番組はYes/Noで進む性格判断チャートでゆるく終了し、ゲストが1曲歌うコーナーで締めとなる。
依子さんがチャイナドレス姿でこのとき歌ったのは「蘇州夜曲」。
トークコーナーで飲み始めた桂花陳酒がほんのり効いて桃花源に迷いこんだような、心地よく漂う歌声で、
薄紅色に染められるようにして番組は終了。



1992年5月23日(土) 朝日放送にて放送


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