『渡り番頭・鏡善太郎の推理III〜燃える夜神楽殺人事件』(2005)

いろんな人が事件を解決する世の中です。
鹿賀丈史さん演ずる鏡善太郎こと善さんは、もと裁判官で、現在は「渡り番頭」。
傾きかけた旅館を立て直して旅する番頭さんです。
年末に源泉徴収票集めるのが大変そうな職業ですね。

依子さんは、この宮崎県高千穂の旅館「神仙」を仕切る若女将。
高千穂は天孫降臨のいわれ深き土地です。

このドラマでのヨーリー・ポイントは、和装、入浴、耐える細腕。

私は着物の知識がまったくないため、帯の種類などを説明できなくて申し訳ないんですが、
ずっと和装(浴衣も含む)です。

着物を着てないのは、旅館のお風呂に浸かっている場面のみ。肩から上ですよ。
『愛という名のもとに』のようなニット姿でも、こういう和装でもお風呂でも、
依子さんのように首のラインが綺麗な女優さんは、見ていて嬉しい。

彼女は、一年前の夫の死について疑いをかけられています。
善さんは番頭として、そしてたぶんに男として、彼女の潔白を信じるのですが、さらなる疑惑が次々に持ち上がります。
これをじっと耐えながら旅館再建に向かう姿が、ブログなどで奔放にはじける依子さんを拝見できる今となっては、
ニヤニヤしっぱなしです。だって本当に健気に映るんだもんな。
一箇所、鹿賀さんのセリフの場面で、画面の左端に依子さんのうなじだけが映るところがあるんです。
そこがやけに残るので、このドラマでの依子さんは、うなじで聞いてうなじで動いているような印象があります。

ひとつ気がついたこと。
依子さんは、困惑した表情でも、口許は「ちぇっ、つまんないな」という仕種に見えるんですね。
そこが、「ほんとは困ってないんじゃないのか」という疑惑をちらりと抱かせて、サスペンス。

さて、このドラマは2005年5月7日「土曜ワイド劇場」放送だったのですが、あれ?この時期って…
依子さんがもっとも大変だった時期ではないですか!
どう大変だったかは、小学館から出ている『子宮会議』を買いましょう。
とんでもなく大変だったことがよくわかります。
しかし映る依子さんはいたって健康そうです。だいいち、入浴シーンもあるわけで。

そこで「渡りヨーリー・マニア」の私が調べましたところ、なんとこの番組、撮影は2003年3月に行われているんです。
『子宮会議』の冒頭が何年のどの季節か、各自チェックしてみてください。
なるほど、と思うでしょう。

そこから、なぜかオンエアまでに時間が空いて(これは理由がわからなかった)2004年5月22日に放送予定だったのですが、
その日になにがあったかおぼえてますか?
これも調べました。
小泉さんが、北朝鮮から拉致被害者家族を連れて帰ったんですね。
報道特番が組まれて、この番組は放送までさらにお預けをくらったのです。
これがすべての真相です。

解決したけれど、私は「行かないで、ずっとこの旅館にいて」と引き止められることはないでしょうね。
ラストで、ちょっと「善さん、いいなぁ」と思いました。

2005年5月7日土曜日21:00〜22:54
テレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」枠にて放送

演出 油谷 誠至
脚本 石原 武龍

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