『丹下晋蔵熱血記 函館望郷編』(1997)


造園業を営む頑固オヤジの丹下晋蔵(北島三郎)が函館と故郷の知内(実際にサブちゃんの出身地らしい)
で巻き込まれる事件をホームドラマ調に描いた2時間ドラマ。
年上の男(火野正平)の元へ駆け落ち同然で出奔した娘(長谷川真弓)を追って、
晋蔵はなじみの小料理屋の女将(中村玉緒)と函館に向かう。
そこで偶然知り合った女・由美子(洞口依子)に殺人の嫌疑がかかる。

序盤、「花嫁の父」をテーマにしたホームドラマが展開するので、この物語に依子さんがどう絡むのかと思っていると、
夜の波止場を沈んだ足取りで歩いている姿を晋蔵に声をかけられる。
流れ者の雰囲気を漂わせながら、話してみるとあっけらかんとした陽性のキャラクターであるのが、
この種のドラマの彼女としては珍しい印象を残す。
2人の間に色恋の気配を挟み込ませていないのも、晋蔵の人情家としての面を強調するためだろう。
劇中、サブちゃんがカラオケで歌うのが「函館の女」ではなく「娘よ」であるのも、そういうことか。

いや、そんなことよりも、洞口依子と北島三郎の共演というあまり見られない絵が素直に楽しい。
お約束といってもいい市内観光のシークエンスも、サブちゃんがサブちゃんに戻って景観を説明しているかのようだし、
それに依子さんが由美子として相槌を打つ、という図に映っているのが面白い。

なお、Wikipediaによると、サブちゃんは高校生のときに、海でおぼれた小学生を救助したことがあるらしい。
そんなエピソードの披露など、あったのだろうか?などと想像するのも楽しい。


1997年10月27日21:00〜22:54 TBS「月曜ドラマスペシャル」にて放送
長尾啓司 演出
岩田元喜 長尾啓司 脚本

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