〜洞口依子さん出演作品解説〜

『終点は海』(2021年)オンライン上映を観る方法


 『第16回札幌国際短編映画祭』で洞口依子さん主演の『終点は海』(鯨岡弘識・監督)が上映されます。現地で鑑賞できるかたは、こちらのページの「上映スケジュール」に沿って、11/21(日)の19時15分から20時45分までに、札幌文化芸術劇場hitaru クリエイティブスタジオ(札幌市民交流プラザ 3階)でおこなわれる「国内作品B」プログラムへどうぞ。この映画の空と海をスクリーンで観れるなんて羨ましいです。

 札幌までは遠いというかたのために、オンライン上映を観るための手続きをご案内します。なお、オンライン上映は12/5の23時59分まで視聴可能です。チケット代は2800円(PayPayや各種クレジットカード)。

☆まず、チケットを買います。
こちらのページで、「オンライン上映」の欄にある「チケット購入」をクリック。
この段階では「ユーザー登録」はしません。
 
☆パスマーケットのページに移ります。
PC画面の右側、スマホだと下のほうに「チケットを申し込む」があるのでクリック。
 
☆チケットの種類(通常の代金、または映画祭を応援する寄付込み)を選んで、
PayPay残高で支払う場合は「ログイン」を、
そうでない場合は「ログインせずに申し込む」をクリック。
 
☆私は「ログインせずに申し込む」だったので、そのままガイドに従って、「アンケート」に応えたのち申し込みを確定すると、確認メールが送られてきました。
メールに掲載されている「注文番号」をコピーし、ペーストに備えます。
 
☆次に、『札幌国際短編映画祭』にユーザー登録します。登録はこちらのページの「オンライン上映」のところから。ここで上記の「注文番号」が必要となります。
 
☆『札幌国際短編映画祭』からアカウント確認のメールが送られてきます。そこに掲載されているリンクをクリックして、登録は完了です。
あとは『札幌国際短編映画祭』のこちらのページに入って、『終点は海』の欄で「この作品を観る」をクリックすれば完了です。
 

 ややこしい段取りに思えるかもしれませんが、作品はもちろん、この映画の洞口依子さんは必見です。
 長く疎遠だった息子と再会する母親の役を演じています。それに近い役は今までにもあったのだけれど、『終点は海』での洞口さんは、キッチンや電車や浜辺や海への小径といった風景の中で、寄る辺なく不確かな存在として映っています。その不確かさが本作での洞口さんの魅力です。

 この母親が人生のひとつの際に着いた後のような日々を過ごしていて、あるストーリーが終わった余白を感じさせます。その苛立ちや不全感も、セリフで語られるよりずっと不確かな揺らぎを秘めています。
 映画はそこから始まります。彼女は(不本意にも)今の場所にいる。そして、それは行き止まりにしか見えない。そこに現れるのが、これまた不確かな実在感で母に問いかける息子です。この息子を演じる清水尚弥さんが、『テオレマ』のテレンス・スタンプみたいに掴みどころのない佇まいです。

 はたして、この再会は母親の余白に何か新しい出来事を書きこむのか、書き込まないのか。寂れた砂浜の焚火や、空と海の悲しい美しさが、そしてお米や茄子が、具体的な物として映りながら心象へと変わっていく、そんな作品です。
 そうしたイメージの呼吸とともに、洞口依子さんが放つ不確かさが観客に様々な感情を喚起させます。先述したように、いくつかの出演作で洞口さんが演じた役に近いところがあるのですが、受ける印象はまったく別ものでした。彼女の目線が息子と会話しながら海のほうを見ている間合いの、短いけれど、なんと豊かなことか。

 デビュー以来かなりの数の出演作を見てきた私でも、本作での洞口さんには新鮮な驚きをおぼえました。しかもそれがオープニングから途絶えずに続いていきます。ちょっとこれは忘れられない一本になりそうです。

出演
洞口依子 清水尚弥 
 
監督・脚本・編集 鯨岡弘識 撮影・佐藤宏樹



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洞口日和