『パパ・サヴァイバル』(1995年)

なんで「サヴァイ」で「ウ」に濁点がついてるのに、そのあと「ヴァル」じゃないのかわかりませんが、
ともかく、正確なタイトル表記は「サヴァイバル」です。

1995年7月2日から9月24日まで、TBSの東芝日曜劇場で放送されていたコメディーです。
私が見たのは、第9回「悪夢の訪問者」のみです。
ですから、細かい人物設定などは把握していないのですが、準レギュラーだったのでしょうか。

堺正章さん、岩城滉一さん、寺脇康文さんら会社の同僚が家族とともに住む社宅を舞台に、
子育てや夫婦の問題にからんだてんやわんやが描かれています。
洞口依子さんの役は、かつて岩城さんと何事かあったらしい女子社員。
すでに結婚しているのですが、ある日突然、岩城さんの家(奥様とは死別し、小学生の息子とふたり暮らし)に
押しかけてきます。
岩城さんは、現在、萬田久子さん演じる歯医者さんに恋しているので、この展開はマズい。
で、お約束どおり、ちょっと岩城さんが気になりかけてきた萬田さんが、この状況に「こんにちは〜」しちゃいます。

もう、何万回となくTVで目にしてきた、手垢のついた展開です。
東芝日曜劇場は、そういうものを毎回ちゃんと額縁で囲って、お茶の間向けに作り続けてきたのですね。
そういうことをカッコいいなぁと思う神経が、私には多少ありまして、
堺さんと泉ピン子さんの夫婦喧嘩に、岡本麗さんが「あ〜ら、ごめんあそあせ〜」なんて絡む場面など、
なんか嬉しくて笑ってしまいますね。
この3人が並んだ絵柄がすごいんだ。
確実に空気中のなにかの成分濃度が上昇しています。なんの成分かわからないけど。

これだけの空気が否が応にも(って、仕事なんですが)熟成されているなか、
依子さんもはじけるように明るいコメディー演技を見せてくれます。

依子さんの役どころは、女性についつい優しくなる岩城さんの役どころにとっても、
きっぱりと断れないような押しの強さと自己中心的なところを出さなければならない。
また、強気に出ても、ハッタリが見えていなければならない。
泉ピン子さんに帰るよう説得されて、激昂した依子さんは刃物を振り回します。
それに怯むことなく対峙するのが萬田さんで、彼女の女っぷりのよさを際立たせるエピソードなんですね、これは。
それでいて、「いい男を盗っちゃうかも」と思わせるくらいのお色気が必要で、
こうなると依子さんの伝家の宝刀である「小悪魔」の出番です。

というわけで、1995年にはもうだいぶ鞘に収めていたであろうこの名刀「小悪魔」を抜いてくださったのがこのコメディーです。

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