〜洞口依子 出演作品解説〜

『NEXT WORLD 私たちの未来』
第2回「寿命はどこまで延びるのか」(2015年)

NHKスペシャルの20115年新春特番『NEXT WORLD 私たちの未来』、その第2回「寿命はどこまで延びるのか」内のドラマ。
若返りの特効薬が開発された2045年、品川徹さんと島かおりさんの老夫婦をめぐるショートショート的なミニ・ドラマで、洞口依子さんは
神保美喜さん、布施博さん、中丸新将さんとともに友人役で出演している。

近年、いろいろな機会に、「老け役を演じたい」と話したりしている洞口さんが68歳の役を演じているのが見ものの一編で、
年明けにいきなり加齢メイクを施した彼女を見て、ポカーンとしてしまった。
それもなかなかリアルなメイクで、一瞬、私の老眼が進んだのかと疑ったほど。
隣に座った布施博さんと手を握り、落ち着いた口調で話す洞口さんは、いわくありげな雰囲気を笑みの奥に忍ばせて、まぎれもなく洞口依子。
妙に自然体の老けメイクでの彼女を見ていると、くすぐったいような、いや、くすぐられているような、不思議に楽しい感覚がこみ上がる。
布施さんと洞口さんの60代役が、『振り向けば通り雨』(1987)での若いバカップルや、『悪の仮面』(2001)でのジリジリした恐怖を思い返させて、
これまたなんとも時間がスキップしたみたいに不思議な気分にさせるのもファンには一興。

脚本・演出は『世にも奇妙な物語』を多数手がけられて、昨年の『学校の怪談・呪いの言霊』なども監督された落合正幸さん。
そう言われると、なるほどなぁと肯けるものがある。
十年間の長い眠りから目覚めた島かおりさんの顔をのぞきこむ洞口さんは、笑っているけれど、やはりこういうシーンではどこかしら怪しくて、
「にわかには信じがたい説明を受けている人」の先行きを案じさせる。
『50億を相続する女』(2003)などのサスペンス・ドラマでもあったように、「気絶から目覚めた時に洞口依子が微笑んでいたら要注意」の法則が適用される。

と、私みたいな楽しみかたをする人には、ツボがあちこちにあるので、見逃した人は再放送やNHKアーカイヴスなどでご覧ください。

2015年1月4日(日)21時15分〜22時5分
NHK総合テレビ

出演
島かおり 品川徹
洞口依子 布施博 神保美喜 中丸新将

脚本・監督 落合正幸



洞口依子さん出演作リスト&解説へ   

洞口日和