『北の国から ’89 帰郷』(1989年)

いきなり恥をさらしますが、私はこの高名なシリーズを、ちゃんと見たことがありませんでした。
…非国民ですね。
放映から18年を経てはじめて、この回を見ました。

依子さんの役柄は、東京で働く17歳の純くんに、400ccのバイクを仲介する、不良っぽい女の子、エリ。
年齢は不明ですが、たぶん、純くんより少し上でしょうか。 全身真っ赤なコーディネイトで鮮烈な印象を残します。

まず、バイクを見て無邪気に驚嘆の声を発する純くんに、試乗してきなよ、と理解あるそぶりを見せます。
陰があるし、グレているのですが、どこか純くんのピュアな面に興味を持っているのが伝わります。

次に登場するのは、喫茶店で、純くんとふたりきりで。
つとめてクールに振舞いながら、秋波を送ります。 この時点では初心な純くんは、ドギマギしながら、まんざらでもない様子。
それで、どうなるかというと、ボートの上で、彼女は迫っちゃうのですね。 純くんは受け容れられない。
結果、エリは半裸で水に落ちてしまいます。

で、いろいろあって(ネタバレになるので説明はしません)、次にふたりが再会するとき、エリは純くんの優しさに素直になります。
この喫茶店のシーンは、わかっちゃいるんだけど、心が釣られてしまう佳い場面です。
その後、エリが、純くんのある探し物を手伝って、東京の街を歩き回るシーンも素敵ですね。

私の頭の中にある洞口依子像というのは、こういうストレートな不良少女より、もう少し知的に屈折した陰翳のあるものなので、
ここでの依子さんは意外でした。 あぁ、作り手によって、こういうふうに解釈もできるものなのだな、と納得しました。
また、これはファンだから思うことでしょうけど、素直になっても、完全になりきれない微妙な距離感がリアルでいいです。
とくに吉岡秀隆さんとの対比で、純くんの素朴さにおそるおそる心を開いてゆく段階。
この作品が、多くのYoolymaniaにとって「依り好み」(造語)されるのも、このシーンにあるのでしょう。

あと、現在の依子さんも、この場面での依子さんと同じ表情をするときがありますよね。
当たり前かもしれませんが、妙にうれしくなりました。

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