『青い豹 最も危険なヒットマン』(1994)


親子3代と続く殺し屋で、青いジャガーを乗り回すヒットマン、「インターナショナル・シンジケート」に所属する
加納達也(杉本哲太)の活躍を描いたコミック原作のオリジナル・ビデオ版。
続編として『青い豹2 88は殺しのナンバー』も作られている。

任務遂行の一部始終を第三者に見られた加納が、目撃者の女を消すために奔走する話に、
同じ組織のスイス支部からやって来た由加(洞口依子)と組んで、国際的テロリストの暗躍を防ぐ話が絡む。

自動車会社の営業マンでもある昼の加納にはラブコメ的なコミカルさもあり、裏の顔にも朴訥な人柄がにじみ出ているように思うのだけど、
依子さんが出て来て、目線を斜め下に落とすとそこに「ノワール」な空気が充満する。
これは予想していても実際に見るとやはり抗し難いものがある。
クラシックの演奏会のチケットを加納に譲るくだりも、「彼氏にふられたから」の一言に彼女なればこその小悪魔的なあやしさが響く。
また、そうした静のしぐさだけではなく、監禁場所での拷問やそこから逃れようとしてのアクションもあり、
(短いシーンだが)彼女にしては珍しいし、あどけなさものぞく表情との不思議なバランスも面白い。
とにかく、ほぼ全編、依子さんが出ているので、TVのオンエアやビデオで見かけたらファンは要チェック。

『夜霧よ今夜もありがとう』『明日も咲こう花咲こう』など、日活で数々のアクションや青春映画を撮り続けた江崎実生監督の作品。
その方面に詳しい人なら、この『青い豹』での依子さんの映り方にも何か気づくことがあるだろうか。
この作品といい『ザ・ギャンブラー』といい、彼女のフィルモグラフィーを追っていくと、
その辺りの映画の匂いが微かに漂ってくる気がしてならない(『ハネムーンは無人島』での船上アクションにもそれがあった)。

もっと修行して、なにか言えるようになりたいと思います。


1994年6月24日ビデオ発売
江崎実生 監督
井上誠吾 脚本
内田清美 撮影
とんぼはうす 工藤かずや 原作

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